Yahoo!ニュース 個人は新施策を12月1日に発表した。そもそも、Yahoo!ニュース 個人とは何か。

「Yahoo!ニュースはニュースのメディアパートナーによる記事配信が中心でした。例えば、見識がある方が各媒体などと個別でつながりがあるのであれば別ですが、そういう個々人が自由に情報発信を行うには限度があると思いました。ヤフーとしてもそういった声を(ユーザーに)届けたいという思いから2012年9月に始めたのが最初です」(片岡氏)

力量がある有識者に情報発信の場を提供する目的で作られた「Yahoo!ニュース 個人」だが、著名ライターがYahoo!ニュース 個人に集中してしまっては、パートナーとの協力関係に問題は生じないのだろうかという疑念が生まれる。

「決してパートナーの配信とぶつかるものではないと思います。それぞれのニュースに対する見解などを深く書いていただくためのプラットフォームですから。もちろん、媒体の方から全く言われていないとは言いませんが、私達が書いていただく場合にはPVなどに応じた『成果報酬型』ですし、その方の力量に応じて媒体の方が支払われる原稿料とは金額や支払い方法が大きく異なります。

こうした現状から、『片方で書かなくなる』といったことはないと思っています。実際に、(Yahoo!ニュース 個人とWeb媒体の)両方で多くの方が書いていらっしゃいますし、今回の新施策では他メディアに対する認知度向上を図り、活躍の場を増やしていただくということが趣旨の一つとなっています」(片岡氏)

オーサーがあらゆる場で読者と接することができるよう、ヤフー内でも活動の場を提供していく

関連リンクをユーザーに最適化するコンテンツディスカバリー

メディアに対する貢献という面では、10月より提供を開始した「Yahoo!コンテンツディスカバリー」というソリューションが存在する。

一般的に各メディアは記事ページに関連記事のリンクを貼っているが、自分たちで設定したリンクのため全ての閲覧者に一律で表示される。

「ユーザーのコンテキスト(背景)はそれぞれだし、時間帯別でも見たいと思う記事は異なってくる。そこで、ユーザーに最適化することで、記事をより読んでもらおうとしたものがコンテンツディスカバリーです」(片岡氏)

Cookie情報を活用してニュースの閲覧履歴などを収集(行動履歴追跡のオプトアウトも可能)。また、SNSなどで話題となっているニュースもレコメンドの掲載順位などに影響するため、話題性も加味した形でそのユーザーに最適化された記事の提案が行われる。

これは、Yahoo!ニュースだけではなく、各種メディアパートナー企業同士の送客も行えるため、ライバル企業同士の関係を超えた潜在読者の掘り起こしが期待できる。

「SNSやスマートデバイスの普及により、SNSアプリで記事をクリックする場合には記事を読んだ後にSNSアプリに戻ってしまうケースが多く見られます。1記事を見られて終わりでは媒体は大変なわけです。

そこで新しい、自分がよく読むような記事、SNSで多く見られているような記事がレコメンドされていれば、それを見て回遊してくれるようになる。自分でリンクを貼るだけでは難しい関連性が薄いけど、クリックしてくれるような記事をレコメンド出来るようにすることで、回遊率の向上に繋がると思います」(片岡氏)

9月にリリースしたばかりだが、反応は上々のようで、「コンテンツディスカバリーの仕組み上、閲覧履歴が貯まれば貯まるほど、よりユーザーに最適化されるため、CTRも上がっています」とのこと。現在はCookieベースの運用だが、いずれはYahoo! JAPAN IDの活用を検討したいという。

「ただ、ユーザーの閲覧情報はセンシティブなものですので、なかなか難しいと思っています」(片岡氏)