ヤフーは12月1日、有識者や専門家が書き手になり記事を寄稿する「Yahoo!ニュース 個人」でオーサーの活動を支援する「オーサーコメント」「オーサーアワード」を開始すると発表した。

Yahoo!ニュース 個人は、2012年9月に55名のオーサーでサービスを開始。書き手が発信する有益な情報を集約して発信できるプラットフォームとして現在は465名が執筆している。利用者数もサービス開始時と比較して約6倍まで増加しているという。

オーサー支援プログラムのうち「オーサーコメント」では、Yahoo!ニュースで配信される通常の記事にオーサー専用のコメント枠を設置。専門性に基づくコメントをコンテンツパートナーから配信される記事とともにユーザーに届けることで利用者の理解促進やオーサーの知名度向上を目指す。

一方のオーサーアワードでは、Yahoo!ニュース 個人が目指す「オーサーによる社会課題を発見し伝え、議論を喚起し、より多くの解決を促す」ことを年間で最も体現したオーサーを表彰する。

受賞オーサーの選定はオーサーによる投票や外部の有識者と「Yahoo!ニュース」が審査を行い、アワード受賞者1名を表彰して賞金100万円を贈呈する予定だという。

また、各月に投稿された記事を対象とした月間MVA(Most Valuable Article)も用意。オーサーアワード同様に社会課題の解決につながるような記事を表彰するという。該当する記事のオーサーには副賞として10万円を贈呈する。年間オーサーアワードは2015年から、月間MVAは2015年1月から表彰する予定。

宮坂氏「多くの書き手が原稿に触れる機会を」

ヤフー 代表取締役社長 宮坂 学氏

ヤフーはYahoo!ニュース 個人で執筆活動を行っているオーサーを対象としたカンファレンスを都内で開催。ヤフー 代表取締役社長の宮坂 学氏と同社 メディアサービスカンパニー ニュース本部長 片岡 裕氏が登壇した。

宮坂氏はYahoo!ニュース 個人を開始して2年が経ったことに触れ、当初の55名から465名まで「オーサー(書き手)」が増えたことを強調。

「ただの465名ではない、有識者や専門家が465名も集まっていただいた。Yahoo! JAPANとしては、日本で一番書き手をサポートできる企業となりたい」(宮坂氏)

宮坂氏が繰り返し語ったことは、まさに「書き手のサポート」という点。先日、長野県の白馬村で地震があったことに触れ、家族が現地に住む宮坂氏は久々に足を運んだと語る。

「こういう職業柄、10年前はただの人だったので、白馬村に行っても何もなかったが、今回は白馬村の村長さんなど、地元の方と話す機会があった。震災が起きて、その後にどのようなことを行えば良いのか、伝えたくても私にはニュースを書く力がない。そういった課題解決の方法を、書き手の方を通して伝えられれば良い。白馬村の方にも紹介したいと思う」(宮坂氏)

また、課題解決を図るためには書き手が抱える課題である「接触機会」や「活動費」といったものも解決したいと話し、プラットフォーム側の理論だけではなく、書き手の意見も交えてニュースのあり方を考えていきたいと話した。

「多くの書き手の方の原稿に読者が触れる機会を作りたい。いつの日かYahoo!ニュース 個人から、ピューリッツァー賞のような国際的な権威のある賞が生まれることを夢見て頑張って行きたい」(宮坂氏)

Yahoo!ニュース 個人は共感を得やすい

ヤフー メディアサービスカンパニー ニュース本部長 片岡 裕氏

一方で、片岡氏は今回のオーサー支援プログラムの詳細を説明。Yahoo!ニュースの中でもYahoo!ニュース 個人は、書き手の顔が見えるため、記事がより共感を得やすいという。

1記事あたりの外部流入数は通常のニュースと比較して22倍にも達し、最も拡散された記事ではFacebookシェア数が48万件、Twitterツイート数が4.4万件、PVは632万件にのぼった。

こうした個人の執筆活動がヤフーに対しても好影響を及ぼすことから、同社は社内の他サービスとの連携も強化をはかり、エコシステムを強化していく予定だという。

「継続的なコンテンツ創出を支援し、オーサー独自のコミュニティで記事を拡げていただくことが社会の課題解決にも繋がると思う」(片岡氏)

個人のオーサーに継続的に執筆してもらうための施策としては、12月よりレベニューシェアの料率を見直し、30%から50%に引き上げる。また、オーサーアワードや月間MVA制度については、副賞として賞金が付くものの、あくまでコンテンツ価値を見定めるものであり、PVありきの評価にはならないという。

また、掲載ガイドラインについてはこれまでオーサーに対して公開されていなかったものの、「より良いプラットフォームとすべく、明文化してオーサーの方に知らせた方が良いと判断した」(片岡氏)ことから、今後オーサーに公開していくとしている。