キヤノンは11月13日、日本を含めた5カ国の協力のもと、米国ハワイ島マウナケア山山頂付近で建設が進められている主鏡の直径が30mにおよぶ次世代巨大望遠鏡「TMT」の主鏡として搭載される分割鏡の日本担当分の加工を開始したことを明らかにした。

TMTの30mの主鏡は、対角1.44m、厚さ45mmの六角形でできた合計492枚の分割鏡を2.5mm間隔で敷き詰めることで構成されるが、加工形状の異なる82種類の分割鏡を6枚ずつ(交換用を含めると7枚ずつ)製作する必要がある。

同社が担当する分割鏡の加工は、表面の凹凸を2μm以下の精度で加工することが要求されており、同社では、これまでのレンズやミラー製作で培った研削・研磨技術、非球面加工技術、計測技術などの光学技術を駆使することで製作を行っていくとしており、中でも非球面加工の工程においては、独自開発の工具を用いることで、分割鏡を曲げ、効率よく加工を行う予定だとしている。

なおTMTの建設費は約1500億円で、その内の4分の1を日本が負担する予定で、キヤノンが行う分割鏡の加工のほか、分割鏡の元となるガラス材の生産や望遠鏡本体の設計、製造なども日本の担当になっているという。

マウナケア山頂に設置されるTMTの完成予想図 (C)国立天文台TMT推進室

左が分割鏡を敷き詰めた主鏡の構成図、右がキヤノンが製作した主鏡分割鏡の試作品(非球面積が最も大きい#82を試作)