東京都・清澄白河の東京都現代美術館では、身体表現と現代アートの関係性を探る展覧会「東京アートミーティング(第5回) 新たな系譜学をもとめて -跳躍/痕跡/身体」を開催している。開催期間は2015年1月4日まで(11月24日を除く月曜、11月25日、12月28日~2015年1月1日は休館)、開場時間は10:00~18:00、入場料は一般1,200円、大学生・65歳以上900円、中高生600円。

シャロン・ロックハート「Five Dances and Nine Wall Carpets by Noa Eshkol」2011年 (c)Sharon Lockhart, 2011 Photo: Jens Ziehe, Berlin Courtesy the artist, neugerriemschneider, Berlin, Gladstone Gallery, New York and Brussels, and Blum & Poe, Los Angeles. [参考図版]

同展は、ダンスや伝統芸能、演劇、スポーツ、武道など、広義の身体表現を含む「身体パフォーマンス」と「現代アート」が出会うことで、新たな可能性を探求する展覧会。狂言師であり、現代演劇やパフォーマンスへの出演や演出なども手がける野村萬斎が総合アドバイザーを務める。

絵画、映像、インスタレーション、1950年代以降の能や舞踏などの前衛の系譜をたどる資料展示や、会場内で行われるさまざまなパフォーマンスから構成されており、チェルフィッチュ、チョイ・カファイ、ダムタイプ(新作の展示は11月16日まで)、金氏徹平、エルネスト・ネト、ジャクソン・ポロック、デンツウ ラボ トウキョウ&ライゾマティクスらの作品が並ぶ。

例えば、極限まで簡潔化された能の動きや狂言の形式化された感情表現は、90年代以降、言葉を排して、ロボティックでミニマルな形の反復を特徴としたダムタイプの簡潔さと非表現性とに関連づけて紹介されており、チョイ・カファイは「身体は文化的記憶を継承するための装置となりうるか」という視点で、歴代の名ダンサーの動きを電気信号におきかえ、それによって他者(の筋肉)を制御し移植することを試みる。

チョイ・カファイ「シンクロメトリックス」2011年

ダムタイプ「MEMORANDUM OR VOYAGE」2014年

また、60年代の実験的な振り付け家でありアーティストであるノア・エシュコルの作品を発見し、彼女の作品に通底する身体性を映像インスタレーションで見せるシャロン・ロックハート、スポーツ選手の動きを分析的にとらえ、そのパフォーマンス性を新たな視点で見いだすダグラス・ゴードン、アマゾン先住民の世界観をインスタレーション内をめぐることで観客に追体験させるエルネスト・ネトらによる、多様なアプローチで系譜学をたどることができる

さらに、中田英寿+ライゾマティクス・真鍋大度によるトークイベント(11月30日)や、チェルフィッチュ・岡田利規の新作「ポストラップ」(12月23日)など多彩な関連イベントも開催されるほか、同館開館20周年記念事業として野村萬斎+ダムタイプ・高谷史郎による「三番叟」(12月3日)と「ボレロ」(12月17日)も開催される。

なお、同美術館のブログでは鑑賞の手助けになるようなモデルコースも紹介されている。