サイバーエージェントは10月21日、シード・プランニングと共同で行った国内動画広告の市場動向調査の結果を発表した。同調査では、インターネットを通して配信される動画広告の年間広告出稿額を推計し市場規模予測を算出している。
スマートフォンの急速な普及を背景に、ユーザーの動画広告視聴におけるスマートフォンの比重は急拡大しており、動画広告の配信先デバイスに、スマートフォンが占める比率が高まっている。また、スマートフォン向けに特化した動画広告商品の提供も進んでおり、ゲームアプリを提供する広告主企業による出稿が始まりつつある。
これにより同社は、2014年の動画広告市場は311億円、前年対比197%に達すると予想。今後、中長期的にスマートフォン向けの動画広告の需要拡大が市場成長をけん引し、2017年には、2013年の約5.6倍となる880億円に達し、スマートフォン向けの動画広告需要は約52%を占める見込みだという。
動画コンテンツの間に広告を表示する「インストリーム広告」が伸びるほか、YouTubeの広告収入で暮らしている「YouTuber」と呼ばれる人物が登場して注目を集めており、企業が人気のYouTuberとタイアップしPR動画を製作するといったニーズも高まってきている。インスクロール広告は、大手ポータルサイトのほか、ソーシャルメディアを通して提供され、動画広告の新しい提供形態として、メディアや広告会社による提案が増加している。
スマートフォン向けでは、ユーザーの動画広告視聴を促進するために、動画広告一視聴に対しインセンティブを付与するものや成果報酬課金型のものなど、多様な形態の動画広告商品の開発・提供が進んでいる。
同社によると、動画広告商品の需要は、今後もインストリーム広告を中心に推移する一方、提供形態の多様化により、インバナー広告・インスクロール広告・その他の動画広告の比率は、2013年時点の19%から2017年には27%に拡大すると予想されている。
今後の市場成長を実現する上での課題として、動画広告における効果測定指標の整備や、動画広告の出稿先となるコンテンツの拡充、これを実現するためのメディア・動画制作者の収益性が担保されるエコシステムの確立などが挙げられる。なお、スマートフォン上での動画広告による広告主とユーザー間のコミュニケーションの確立においても、今後いっそう重要となるという。
同社は、同課題解決に向けた取り組みが進み、動画広告がユーザー・広告主・提供事業者から支持され望ましい方向に向かうことにより、2015年以降動画広告市場はさらに活性化され、中長期的な成長をすることが期待できると説明する。