キーサイト・テクノロジーは9月2日、0.01fAの微小電流の測定が可能なグラフ表示機能搭載のピコアンメータ/エレクトロメータ「B2980Aシリーズ フェムト・ピコアンメータ/エレクトロメータ」を発表した。

同製品シリーズは、同社がこれまで半導体ウェハ測定機器などで培ってきた微小電流測定技術をベースに開発が行われたもので、2011年に提供が開始された半導体の素子レベルでの評価で利用可能な「B2900Aシリーズ」の後継シリーズとして位置づけられている。

同シリーズは、一般的にはピコアンメータ/エレクトロメータと呼ばれるカテゴリに分類されるが、今回、フェムトアンペア(fA)クラスの測定が可能であることから、「フェムト・ピコアンメータ/エレクトロメータ」と名付けられたという。

最大の特長は0.01fAの電流測定が可能な点で、実際の測定結果としては6.5桁(0.001fA=1アトアンペア/1aA)の表示が可能。ただし、そのレベルでは測定数値にバラつきが生じるため、保証範囲としてはその1桁上の0.01fAとしている。

B2980Aシリーズの概要

また、一方で、10ペタΩ(PΩ)の抵抗測定も可能なほか、タイムドメイン表示やヒストグラフ表示が可能であるため、過渡的な反応を時系列でみることができ、安定時間などをグラフとして見て取ることが可能だ。

測定結果をグラフで表示することが可能なため、立ち上がり時間などを一目で見てとることができる

さらに、同シリーズはフェムト・ピコアンメータとエレクトロメータがそれぞれ2機種ずつ用意され、2機種のうち1機種はバッテリ搭載モデルとなっている。このバッテリ搭載モデルは、AC電源の影響を受けずに済むため、測定結果の高精度化を図ることができるというもの。バッテリレスモデルとは筐体の設計が異なるため、最初はバッテリレスのモデルを買って、後からオプションでバッテリだけを購入するということはできないので注意が必要だ。ちなみにバッテリの駆動時間は、同社によると標準的な使い方で、フェムト・ピコアンメータが7時間、エレクトロメータで5時間の連続使用が可能だという。

バッテリ駆動にすることで、AC電源からのノイズの影響を受けずに測定を行うことが可能になる

このほか、オプションとして微小電流測定用にデバイス部分までガードをキープする専用の高精度プローブなども提供される予定だという。

なお価格はフェムト・ピコアンメータ「B2981A」が72万円(税別)、バッテリ付きモデルの「B2983A」が96万円(同)、エレクトロメータの「B2985A」が104万円(同)、バッテリ付きモデルの「B2987A」が128万円(同)となっている。

バッテリ付きフェムト・ピコアンメータ「B2983A」の外観

バッテリ付きのエレクトロメータ「B2987A」の外観