"ビジュアルコミュニケーション"を標榜するInstagram。2010年にサービスを開始した「誰でもプロのような写真を撮れる」このアプリは、月間1億5000万ユーザー(2013年12月時点)を獲得するなど、人気を集めている。そのInstagramが8月27日に、新たな動画撮影アプリ「ハイパーラプス(Hyperlapse)」を発表した。

ハイパーラプスの特徴は、タイムラプス動画を撮影できること。この動画は、普段より低いフレームレート(1秒あたりのコマ数)で撮影し、通常のフレームレートで再生する動画で、ユニクロカレンダーでも使われている撮影手法と言えばわかる人もいるかもしれない。

また、Instagramが公式ブログにおいて、ハイパーラプスで撮影した以下の動画も公開している。

撮影時間は最大45分となっており、等倍速から、2、4、6、8、10、12倍速の7段階でタイムラプス動画を作成できる。なお、出力されるファイルは解像度が1080p(1920×1080)、30fpsのmp4となる。

これまで、タイムラプス動画を撮影する場合には三脚で足下を固定して、特殊な機材を用いる必要があった。しかし、Instagramアプリでも利用されている「シネマ機能」という独自の動画手ブレ補正機能などを利用することで、スマートフォンで気軽な撮影を可能にしたのだという。

ただ、この撮影には「シネマ機能」に加えてOSの撮影機能を一部活用しているため、iOS7以降の端末では撮影できるものの、それ以前のOSバージョンやAndroid端末でのアプリ提供は現在「未定」だという。

シンプルさを追求したハイパーラプス

なぜInstagramアプリではなく、ハイパーラプスという別アプリで提供したのか。

Instagramの日本におけるコミュニティマネージャーを務める三島 英里氏はInstagramとして"シンプルであること"を重要視していると話す。

SNSへのシェア機能すらアプリ外部に飛ばすほどの"シンプルさ"だ

「ハイパーラプスではログインやアカウント作成の画面がなく、録画ボタンがあるだけ。FacebookとInstagramへのシェアも最後にアプリへのジャンプが用意されているだけです。誰でも手軽に綺麗な撮影ができるように、そして、その人の世界観が出しやすいようにすることは、Instagramから変わっていません」(三島氏)

動画の最大撮影時間は45分で、Instagramの15秒を大きく越えている。これは、単体の動画撮影アプリとして思うように撮影できるようにしたもので、「普段使いでも面白い動画が撮れるよう、楽しんでもらうことを考えている」(三島氏)のだという。実際に、記者説明会で広報と記者でタイムラプス動画撮影を試していたのだが、想像以上に撮影方法に幅があり、撮影動画を見て楽しむことができた。iPadで利用すれば、撮影後すぐに大画面で映像を見ることができるため、仲間内でより盛り上がるかもしれないと三島氏も語っていた。

ハイパーラプスアプリが出るキッカケとなったのは、社内ハッカソンで、競合他社などを意識したものではなく、Instagramの理念を追い求めた結果として生まれたようだ。

「Instagramはビジュアルコミュニケーションに特化しているブランドですが、静止画の写真と動画をどのように追求していけるかを念頭に開発しました。(Vineを意識しているのかという質問に)動画を撮影するだけのアプリですし、意識していません。ハイパーラプスでは、動画の可能性を広げていきたいと思っています」(三島氏)