Spansionは、マルチチャネルDC/DC型パワーマネジメントIC(PMIC)「Spansion S6AP412A」シリーズのサンプル出荷を開始したと発表した。

同製品は、2013年に発表された「MB39C031」の拡張タイプとなるシリーズで、高度な画像/音声処理機能を搭載したOA機器やネットワーク機器の心臓部を構成する最先端SoC、メモリ、ペリフェラル製品向けにソフトウェアを使った、柔軟かつ厳密な電源シーケンス制御が可能。また、1チップで3チャネルの電源供給が可能で、外付け部品数も削減できる。そして、近年のSoCの大規模化に対応するため、電源供給能力も拡大している。

さらに、I2C通信インタフェースを使い出力を維持したままSoCの動作モードやプロセス条件に応じた最適な電圧へ変更が可能であり、DVSおよびASVの両技術にも対応する。これらにより、最先端SoCの電圧をきめ細かく管理することで、システムの低消費電力化をサポートするとしている。

具体的には、SoC向けには0.7~1.32V(最大4Aまでの電流を供給可能)、メモリ向けには1.2~1.95V、ペリフェラル向けには2.8~3.5Vを1チップで供給する。また、従来外付けで必要だった出力電圧設定抵抗、位相補償回路などの各種受動素子を内蔵し、電源ブロック構成に必要なBOMを大幅に削減する他、実装面積を約30%削減できる。

さらに、ペリフェラル向けのチャネルには昇降圧方式を採用しており、1セルのリチウムイオン電池や3.3Vの入力時にも安定して出力できる。同製品を採用することで、同じハードウェアを用いながら、異なったシーケンスが必要なシステムへの対応が可能となることや、派生ファミリを展開・拡充する際に新たなハードウェアを準備する必要がなくなり、追加投資の削減や設計リソースの有効活用ができ、付加価値の提供を容易に実現できる。

この他、デュアルSoC搭載システム向けに電圧を2系統出力する「S6AP413A」も合わせてサンプル出荷を開始した。CPUを2個搭載したシステムにも1チップで電源供給が可能。供給電圧範囲は0.7~1.32Vで、各系統ともに最大2Aまでの電流供給に対応する。また、主要なSoC電圧に合わせた出力電圧のプリセット値のラインナップを揃えている。

なお、「S6AP412A/S6AP413A」の価格は1500個オーダー時で3.6ドル。7月よりサンプル出荷を開始し、9月より量産出荷を開始する。

「S6AP412A」のブロック図