スポーツ+テクノロジーで人間の限界を超える「Augmented Sports」
続いては、舘暲 特任教授、稲見教授、南澤考太 准教授による「KMD Reality Project」による、新たな研究分野である「Augmented Sports(直訳で、拡張(された)スポーツ)」に関連した研究のデモ展示「SUPERHUMAN OLYMPIC(超人五輪)」を紹介しよう。
Augmented Sportsは、スポーツとテクノロジーを融合させることで、人間の限界を超えると共にオリンピックとパラリンピックの境界をなくすことを可能とする超人五輪の実現に向けて新たなスポーツの研究分野だ。今回のKMDフォーラムの中では、このコーナーは1つの目玉で、慶応大以外の企業などの協力も得て、多数の展示が行われ、展示と関連して、3月1日にはパネルディスカッションとして「AUGMENTED SPORTS SYMPSIUM(拡張スポーツシンポジウム)」も開催された。
それではデモ展示の中で、まずはロボット関係から。今回の目玉ということで、デモ開催時には非常に多くの人を集めていたのが、外骨格スーツ「スケルトニクス」だ(画像13・14・動画4)。この時に展示されていたスケルトニクス(社名も一緒)はご覧の通り、特にエンジンやモータなどの動力源は搭載されていないので、厳密にはアシストスーツやパワードスーツの範疇には入らない。ただし、装着者の力を倍増させる仕組みは備えられている。正確には上半身が倍、下半身が1.5倍だ。その上、装着することで身長も大幅にアップする(全高2.5m)し腕のリーチも大きく伸びることから、さらに遠く(高く)まで手も届くようになり、農作業や林業などにも向いているというわけである(エンジンやサーボがない分、安価にもなる)。
ちなみに、この時に展示されたスーツは、全身をフレームが囲うことでスーツの重量が装着者にはかからないという構造ではなく、上半身と下半身で分離しているため、上半身の重量がすべて装着者にかかってしまっていた。上半身は15kg、下半身は10kgの合計25kgである。軽量化やシンプルさが追求されているが、装着者への負荷が大きい点は課題というわけだ。