STMicroelectronicsは7月8日、スマートフォンやタブレットなど、さまざまなアプリケーションのさらなる省電力化に貢献するマイコン「STM32 Dynamic Efficiency STM32F411」を発表した。
同製品は、Googleの最新OSであるAndroid 4.4(KitKat)のバッテリ駆動時間延長技術に対応する。Kitkatは、加速度センサや圧力センサといった常時オンのセンサを制御する低消費電力センサハブを採用しており、メインシステムプロセッサのバッテリ消費電力を抑えることができる。さらに、同製品のBatch Acquisition Mode(BAM)は、CPUコアのスリープモード時にセンサデータをSRAMに直接格納することで、消費電力をさらに最大50%低減できる。コアは、スリープモードから短時間でRUNモードに復帰し、SRAMに格納されたデータを処理した後、再び省電力モードに戻る。
また、DSP命令セットおよびFPUを備えたARM Cortex-M4プロセッサコアを搭載し、最大128KBのSRAM、および最大512KBのフラッシュメモリを内蔵している。さらに、独自のART Accelerator分岐キャッシュ、90nmプロセス技術、および電圧スケーリング機能を利用することで、動作時の消費電力を最小化するとともに、処理性能を高めている。そして、フラッシュメモリからのEEMBC CoreMarkコード実行時、100μA/MHz(ペリフェラルはオフ状態)のRUNモード電流を実現している。加えて、最大100MHzの駆動で125DMIPSのパフォーマンスを有してる。この他、STOPモード時の消費電流も非常に小さく、全てのSRAMデータ保持を行う場合でも、わずか10μAとなっている。
用途として、モバイル端末をはじめ、さまざまな産業機器、医療用モニタ、ビル・オートメーション、ウェアラブル機器などを想定している。3.034mm×3.22mmの小型パッケージにも対応しているため、スペースに制限のある用途にも使用できる。
なお、サンプル価格は、フラッシュメモリを256KB、SRAMを128KB内蔵し、WLCSP49パッケージを採用した「STM32F411CCY6」が約2.97ドル。現在量産中で、オープンハードウェアプラットフォーム「STM32 Nucleo」、およびソフトウェアツール「STM32Cube」ならびに組み込みソフトウェアを含む開発エコシステムによってサポートされている。Discoveryキットは、2014年第4四半期に利用可能になる予定。