ノリタケカンパニーリミテドは6月5日、-40℃~250℃の温度範囲で1000回のサイクルに耐える金属セラミック基板を開発したと発表した。
金属セラミック基板は、次世代パワー半導体材料として期待される炭化ケイ素(SiC)を電力変換器に組み込む際の土台となる部品である。SiC半導体の特徴を生かすためには、従来品を上回る耐熱性を実現し、高温環境・大電流に対応できることが求められる。
今回、ノリタケはNEDOプロジェクトにおいて、ファインセラミックス技術研究組合の組合員として、金属ペーストの製造技術とセラミックス基板上に電子回路を形成する技術の開発を進め、銅層の熱膨張率を2/3以下に低減し、印刷法と500℃以下の低温焼成で形成できる、金属セラミック基板の開発に成功した。
具体的には、銅層の熱膨張率を銅箔の17ppm/℃から2/3以下に低減することで、銅層を形成した回路基板において、-40℃~250℃で1000サイクルに耐える、耐熱サイクル性を実現した。また、銅箔を使わず印刷法でパターンを形成するため、銅層の厚みを調整し、実装する部品の高低差を調節することができる。これにより、放熱基板を扱う自由度を高めた。さらに、500℃以下の低温焼成でパターンが形成できるため、焼成コストの低減と、焼成時に発生するセラミック基板/銅層界面の歪み軽減が期待される。
今後、NEDOとファインセラミックス技術研究組合は実用化に向けて、さらに耐熱サイクル性を向上させた基板技術の開発を進める。また、同技術を実装技術に展開し、高耐熱SiCモジュールの実証を急ぐ。ノリタケは、今回開発した金属セラミック基板を、その他の電子部品なども含め応用展開し、製品化を図っていくとコメントしている。