マイナビニュースは、6月13日(金)にウイングアーク1st 21階セミナールーム(東京都渋谷区)にて、PDFの保管・運用をテーマとするセミナー「企業内に点在するPDFファイルの課題に立ち向かう~タブレット時代に求められる帳票運用の鍵~」(協賛: ウイングアーク1st株式会社)を開催する。このセミナーには、ウイングアーク1stの取締役CTO 田中潤氏が登壇。帳票の電子化や、現在のPDFの保管のあり方、さらには現状業務の中でのPDFのさらなる活用方法について、具体例を交えて講演する予定だ。

PDFによる電子化のメリットとは

「帳票の電子化」というかけ声が上がってからもう長い年月が経つ。エコの観点からみてもペーパーレスは理想であり、保管場所の削減からコストカットにも役立つ。では、システムという点からみて帳票電子化は、なにかメリットを生んでいるだろうか?

ウイングアーク1st株式会社 取締役CTO 田中潤氏

「会社として帳票システムを刷新するとなると、目的がコスト削減であることが多い。しかし、コスト削減のためにコストをかけてシステムを導入してもそれほど大きなメリットが出ない。それよりも、ビジネスのプラスになるためのシステムを導入し、副産物としてコストが削減できることが望ましい」と田中氏は言う。

では「帳票の電子化」がビジネスにプラスになるようするにはどうすればよいのか?答えのひとつとして、保管されたPDFの再活用があげられる。再活用と言っても、見積書や請求書などの再発行ということではない。蓄積された帳票データの再利用である。

たとえば、新しい顧客に見積書を提出することを考えてみよう。蓄積されている見積書から似たような条件の見積書を検索できれば、参考にもなるし時間の短縮にも結びつく。帳票は、企業にとって自然に蓄積されたナレッジであり、それを利活用できればビジネスに活かすことが可能となるであろう。

ウイングアーク1st社は、帳票設計ツールのSVFで有名なベンダーだ。帳票市場の豊富な経験を活かして、実用的なPDFソリューション製品を提供している。中でも、この3月に機能強化された「SVF PDF Archiver」は、PDFを保管するための中核となるツールだ。

全文検索エンジンを搭載しており、優れた検索機能を有している。また、SVFから書き出したPDFには、フィールド名も付加されており、フィールド名を使った検索も可能だ。これは、帳票ベンダーならではの機能だろう。

タブレットとの連携も見逃せない。ビジネス現場で急速に普及しているタブレットで「SVF PDF Archiver」に蓄積されたPDFを閲覧するツールを2014年秋に発売する予定だ。PC⽤のビューアーと同様に、タブレットでもPDFを閲覧できる。

さらに、既存のオフィスアプリから作成されたPDFや、紙⽂書をスキャンして作成したPDFを「SVF PDF Archiver」に取り込むことができるツールを2014年夏に発売する。これらの外部生成されたPDFは、紙文書のPDFであってもOCR機能を使い、検索可能なPDFにして保存できる。その際、イメージデータのPDFであっても、読み取った文字をテキスト化するだけでなく、位置情報も読み取り、そのテキストがどんな種類のデータかも付加してPDF化し、自動で仕分けして保管できるようになる。企業内におけるすべての文書を電子化して、検索可能な状態で保管することが可能となる。

なぜPDFで電子化するのか?についてだが、田中氏は次のように話してくれた。「世の中の電子化ソフトはPDFではなく独自フォーマットが多い。日本では制定されていないが、欧米では、長期保管文書として国や政府機関からも認められている。世の中の流れがPDFで確定しているのであれば、PDFを使ったほうがいい。PDFをベースにした運用システムを構築していけば、将来的にも息の長いシステムにできる」。

あらゆるアプリケーションで作成されたPDF帳票を保管・管理・検索する「SVF PDF Archiver」

PDF+タブレットで紙による業務フローを電子化する

タブレットでPDFを閲覧できる新しいツールには、閲覧している既存のPDFに情報を付加した新しいPDFを作成できるというユニークな機能がある。たとえば、あるPDFに覚え書きのようなメモを追加できるわけだ。新しいPDFとして保存されるので、元のPDFに変化はない。

この機能を使うと、紙文書を使った業務フローをPDFとタブレットで電子化できる。たとえば、営業報告書のような伝票を考えてみよう。営業担当者は、一日の営業結果を報告書に記入して帰社後に提出するわけだが、これが紙の伝票だと必ず会社に戻る必要がある。また、それらの報告を受ける側の人間も、提出されるまで会社に残らなければならない。

この伝票をPDFに変えたらどうなるだろうか?PDFであればこれまでの紙伝票のイメージをそのまま利用できるので、ITが苦手な人が多い現場でも、それほど大きなストレスなく導入できるはずだ。これまでの紙にペンというスタイルが、タブレットに指での操作に変わるが、業務の運用に大きな違いは生じない。入力した時点で、報告書はオンラインでサーバに保管されるので、会社に戻る必要もない。蓄積された伝票は過去の分まで持ち歩かなくても検索できる。

このように紙の運用ロジックをそのままに、PDFで電子化すれば、既存資産を活かしたままIT化を図れる。「紙を単純に電子化するだけでは、物理的な媒体が変わるだけなので、保管場所は減るが業務の運用は短縮されない。PDFが本当の意味で”紙”の役割をすれば、時間的な制約が解消されるので、時間や人件費を大幅に削減できる」と田中氏は言う。

企業内には、ITに詳しくない社員も多数いる。最新のITを使って新しいシステムを導入しても、現場の社員からみればありがたくないことも多い。しかし、方法によっては、業務フローを変更せずにIT化を進めることもできる。しかも、タブレットならPCに比べて手軽に利用でき、コストも低いので導入しやすいというメリットもある。

帳票の電子化と言うと、営業活動結果の集計データの保管というイメージが強い。だが「紙の業務を、タブレットを使って行うには、今の業務の延長線上でシステム構築するのがよい。」と田中氏が言うように、入力伝票まで範囲を広げて考えれば、PDFで電子化できる業務もまだまだあるはずだ。

今回のセミナーを通じて、実践的なPDFソリューションが紹介される予定だ。帳票の電子化や、業務システム内でのPDFの活用法をお考えなら、会場に足を運んでいただきたい。