大日本印刷は28日、3Dプリンタによる銃器などの危険物の製造やキャラクター製品の模倣品など、違法性や著作権侵害の恐れがある指示が行われた場合、それを受け付けないセキュリティプログラムを開発したと発表した。5月29日~30日に一般社団法人日本印刷学会が主催する研究発表会で詳細を発表したのち、3Dプリンタ関連の企業や団体などと連携し、2017年までの実用化を目指す。

3Dプリンタに入力されたデータの違法性を判定し、その場で製造をストップ!

3Dプリンタや3Dスキャナの著しい技術進歩により、安価な3Dプリンタが市販されるなど、多岐にわたる分野での活用が期待されている。しかしその一方で、海外のウェブサイトなどで公開されている製造用データによって樹脂製の銃器が製造されるなど、3Dプリンタが悪用される事例も発生し、社会問題にもなっている。このたび同社によって開発されたセキュリティプログラムは、3Dプリンタに入力されたデータが、法的認可や許諾が必要な製品(ブラックリスト対象製品)かどうかを素早く判定し、不法なデータと判定された場合は3Dプリンタの作動を停止させることができるとのこと。

また、3Dプリンタは3次元を表現するCADデータやCGデータをポリゴン(三角面の集合)で立体を形成する「STL(Stereolithography)」というデータ形式で受け取り、積層構造のデータ形式に分断および再構成された上で製造する仕組みとなっている。同プログラムは、入力されたSTLデータを独自のアルゴリズムで簡素化し、ブラックリスト対象製品のSTLデータのポリゴンとの照合の高速化を実現。さらに、インターネットからダウンロードした3Dプリンタ出力用データに対して多少の装飾、改変、アングル変更などを施されている場合でも、ブラックリスト対象製品と的確に照合できる。なお、ブラックリスト対象製品は適宜追加登録が可能で、銃器などの危険物だけでなく、著作権保護の対象となるキャラクターのフィギュアなどの3Dプリンタによる製造を規制できるということだ。