国際的な学術情報サービス企業のトムソン・ロイターが4月15日、引用される数が多い論文数の日本の研究機関別ランキングを発表した。総合では、東京大学がトップで、科学技術振興機構(JST)、京都大学、大阪大学、理化学研究所、東北大学、産業技術総合研究所、名古屋大学、東京工業大学、自然科学研究機構の順だった。こうした研究機関ランキングの発表は今年が初めてという。
学術論文の引用動向の統計データベースESIを基に、22の研究分野で引用される数が上位1%の論文を「高被引用論文」と定義して、その数を算出して比較した。データ対象期間は2003年1月1日~2013年10月31日に発表された論文。引用は論文発表から年月が経過するほど増えることを考慮し、各年・分野別の高被引用論文を特定して集計した。
もっとも、数打てば当たるように、論文数が多ければ高被引用論文も多くなる。この間の各研究機関の論文総数に対する高被引用論文の割合は、平均1%になるはずだが、JSTは2.41%、理研が2.25%、高エネルギー加速器研究機構が2.12%とそれぞれ2%を超え、影響力の高い論文を出したことがうかがえる。
この指標から、研究機関の存在感を俯瞰できる。これまでも、研究機関の評価には論文数や被引用数など絶対的指標が利用されていたが、それとは別に「高い被引用論文などの相対的評価の併用が求められるようになった」とトムソン・ロイターは指摘している。しかし、論文数や総引用数、高被引用論文数のランキングいずれでも、東大が日本で圧倒的なトップにあり、大きな違いはなかった。世界のランキングは今回、出していない。
分野別に見ると、高被引用論文の総計で、日本の研究機関に属する研究者の論文が占める割合が世界の5位以内の分野は、22分野のうち化学、免疫学、材料科学、生物学・生化学の4分野だった。ノーベル賞受賞者を7人輩出している物理学は6位だった。分野別ランキングから各研究機関の特色がわかる。国内で、材料科学の1位は物質・材料研究機構、免疫学の1位は審良静男(あきら しずお)教授が率いる免疫学フロンティアセンターがある大阪大学が占めた。
データをまとめたトムソン・ロイターは「突出した研究をしている大学や機関を評価する目安へのニーズが最近高まってきた。それを受けて、研究力を分析するひとつの指標として示した。2002年から毎年、論文数や総引用数でランキングを出してきたが、これからはこの高被引用論文数で発表していく予定だ。」としている。
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