京都大学(京大)は4月11日、末梢血中に数%しか存在しない好塩基球と好酸球が相互作用することで、おむつかぶれ(刺激性皮膚炎)を引き起こすことを明らかにしたと発表した。
同成果は、同大 医学研究科の宮地良樹 教授、同 椛島健治 准教授、同 中嶋千紗 助教、同 大塚篤司 非常勤講師(チューリッヒ大学病院皮膚科研究員)らによるもの。詳細は米国科学誌「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」に掲載された。
好酸球は、末梢血中の2~5%を占める顆粒球で、これまでの研究から、アレルギー性疾患および寄生虫疾患に関与していることが報告されていた。一方の好塩基球は、末梢血中に約0.5%のみ存在する顆粒球で、研究グループのこれまでの調査で、好塩基球がアトピー性皮膚炎の主体となるTh2反応に重要な働きをしていることが判明していた。しかし、おむつかぶれなどの刺激性皮膚炎における好酸球と好塩基球の関係性や役割については不明のままであった。
そこで今回研究グループは、好酸球が欠如したΔdblGATAマウスや好酸球の過剰発現したインターロイキン5(IL-5)トランスジェニック(Tg)マウス、好塩基球特異的除去マウス(BasTRECK Tgマウス)マウスに対し、クロトンオイルを用いた刺激性接触皮膚炎モデルを施行。その結果、ΔdblGATAマウスでは、反応が減弱し、IL-5 Tgマウスでは増強していることを確認。このことから、刺激性皮膚炎の形成に好酸球が重要な役割を果たしていることが示唆されたとする。
さらなる調査の結果、刺激性接触皮膚炎マウスモデルの病変部に好酸球と好塩基球が共存しており、好塩基球浸潤が好酸球浸潤に先行することが判明したほか、好塩基球が好酸球の皮膚浸潤を促進していることなどが示されたことから、好塩基球が皮膚への好酸球の浸潤と活性化に線維芽細胞と協調して関与していることが示唆されたという。
なお研究グループでは、これまで刺激性皮膚炎の治療にはステロイド外用剤が主に使われてきたが、今回の研究結果を活用することで、好塩基球と好酸球をターゲットとした新たな治療戦略の開発が期待されるとコメントしている。