島津製作所は3月11日、1280チャネルの素子を有し、従来比で100倍以上のピーク強度が得られ、25倍の高速測定を実現するワイドレンジ高速検出器「OneSight」を搭載したX線回折装置「XRD-6100 OneSight/7000 OneSight」を発表した。
X線回折装置は、試料にX線を入射して、試料で回折された特性X線の回折パターンを測定することにより、結晶系や結晶化度の決定といった物質の結晶構造解析に関わる幅広い情報を得ることが可能。また、特定の回折ピークに着目した定性や定量を行うこともできる。金属、セラミックス、環境、医薬品など、様々な分野における研究開発や品質管理に利用されている。
従来のシンチレーション検出器は1点1チャネルの素子だが、同製品に搭載された高速検出器はライン状に1280チャネルの素子を有する。これにより、従来の100倍以上のピーク強度が得られる。また、一度に広い角度範囲の回折線を検出できるようになったことにより、ゴニオメーターを固定して測定できる1ショット機能が加わった。広い角度範囲の回折パターンを1度に取得できるため、測定時間が短縮する。測定には、高分解能モード、標準モード、高速モードの3種類のモードを用意している。分野や目的に応じて感度や分解能を変更して測定することができ、広範囲の定性分析にも適している。従来のシンチレーション検出器と同等の感度で比較を行うと、高分解能モードで10倍、標準モードで15倍、高速モードで25倍の高速分析が可能となる。
また、ソフトウェアは、測定の利便性を考慮したデザインに一新し、操作性が向上した。必要な情報を一画面内に表示させることで、測定の状況が一度に確認できる他、作業効率の向上を図った機能を搭載し、ユーザーの分析をサポートする。特に、インフラ整備に伴う建造物建て替えでのアスベスト分析の増加、ジェネリック医薬品の普及に伴う最終製品チェックの強化、また触媒の反応速度や寿命評価における形態解析など、検体数の増加や変化を伴う性能評価においてX線回折分析の高速化が望まれている用途に最適となっている。
島津製作所では、ワイドレンジ高速検出器を搭載した「XRD-6100 OneSight/7000 OneSight」とともに、近年需要が伸びてきている高速検出器のオプションとして「OneSight」単体での販売も行う。既設の「XRD-6100/7000」への据え付けも可能。同製品の拡販により、新興国をはじめとする海外のX線回折装置ユーザーを新規で獲得し、本体と検出器オプションの合計で年間販売台数60台を目指すとしている。なお、価格は「XRD-6100 OneSight」が1760万円(税別)から、「XRD-7000 OneSight」が2130万円(税別)から、検出器オプションが450万円(税別)。すでに販売を開始している。