島津製作所は10月15日、レーザシステム向けの構成部品に適した高効率の平面回折格子を開発し、10月16日より販売を開始すると発表した。

回折格子は、種々の波長が混ざった光(白色光)を波長ごとに分ける光学素子で、基板表面に1mmあたり数百~数千本の格子溝を規則正しく配列した構造をしており、さまざまな波長が混じっている光から特定の波長の光だけを取り出すためのキーデバイスとして、幅広い業界・分野において使用されている。特に近年、医療用画像検査機器として臨床応用が進んでいる光干渉断層計(Optical Coherence Tomography:OCT)の光源である波長可変レーザや、ハイパワー化が進むレーザ加工機の光源として用いられているパルスレーザに組み込まれるなど、レーザ応用分野においても使用され始めており、今回同社では、そうしたニーズに対応できるよう各種レーザ波長帯域で、溝に垂直に偏光した光(TM偏光)において最大の効率が得られるように溝形状を最適設計し、高い回析効率を実現したレーザ用途最適化回析格子を開発したという。

特に、633nmから1064nmまでの波長に対応する溝本数1600本/mmタイプは、98%以上の回折効率を実現しており、レーザ加工機の光源として用いられるレーザのパルス伸長・圧縮において強みを発揮するものとなっている。

また、溝本数と波長域の組み合わせにより、可視域から近赤外の各種レーザの波長に合わせて最適設計した9種類の製品がラインアップされており、カスタマは使用するレーザの用途・目的に適したものを選択することが可能となっている。

なお同製品の価格は20万円(税別)で、同社では2016年度には1億円の売り上げを目指すとしている。また、同製品は同社がこれまで培ってきた金属膜コーティング技術を改良することで、優れたレーザ耐性を実現しているが、同社では今後、同社の高耐性レーザミラー・レーザウィンドウで実現したアモルファス膜製膜技術を展開して、高効率を維持しながらも、さらなる高出力レーザにも高い耐性を有する回折格子を開発する予定だとしている。

島津製作所が開発したレーザ用回折格子