古河電気工業(古河電工)は3月6日、データセンターなどで用いられる光インターコネクション向けに、発光層にInGaAs歪量子井戸構造を採用し、25Gbps動作を実現した面発光レーザ(VCSEL)を開発し、Corningおよび古河電工子会社のOFSにて開発されたマルチモードファイバ、分散補償ファイバを用いて、最大500mの長距離伝送の実証実験に成功したと発表した。

スマートフォンの爆発的な普及やクラウドコンピューティングの活用などによりデータセンターで扱うデータ量は増加の一途を続けており、より大量のデータを高速かつ長距離でやり取りするための通信技術の実現が求められている。

特に将来のメガデータセンターでは300mm以上の伝送距離が必要とされているが、伝送速度を10Gbpsからより高速な25Gbpsに変更した場合、マルチファイバモードの分散による影響により、VCSELの伝送距離は100m程度に留まってしまうという課題があった。

そこで今回同社は、そうした課題の解決に向け、新開発のVCSELと、駆動ICを実用状態に近い小型パッケージに集積した光モジュールを製作し、Corning、OFSが開発したマルチモードファイバとCorningが開発した分散補償ファイバを用いた500mの長距離伝送を達成したという。

これらの結果は、クロック・データ再生や誤り訂正といった電気的な補償技術を一切用いずに得られたものであることから、次世代システムを複雑化することなく、高速化・長距離化できる技術として活用されることが期待されるという。

なお、同社では、長距離伝送可能な光インターコネクション技術は、近年のデータセンターの大型化に伴って需要が高まることが予想されており、今後の導入につながる技術として期待されるとコメントしている。