仏Dassault Systemsは1月27日(米国時間)、同社がカリフォルニア州サンディエゴで開催する年次イベント「SOLIDWORKS WORLD 2014」の初日のゼネラルセッションにおいて、3D CADデータでの概念設計の開発・評価を行うためのアプリケーション「SOLIDWORKS Mechanical Conceptual」の詳細を発表した。価格は月額で249ドル(249ユーロ)で4月2日より発売するとしている(日本での発売は未定)。

SOLIDWORKS WORLD 2014の初日のゼネラルセッションは、関係者を含めて約5600人が集まった(左)、開始とともにクモ型のロボットがステージに登場して会場を賑わせた(右)

セッションの冒頭、3D CADソフト「SolidWorks」を開発するSolidWorksのCEO BERTRAND SICOT氏が登壇し、2013年の状況を報告した。SolidWorksのユーザーコミュニティの会員は2012年で200万人であったが、2013年はさらに30万人増え、3Dデザインのコミュニティの中で最大規模になったという。また、エデュケーション活動の進捗状況では、現在全世界で80カ国・2万7000の学校が設計者育成などの目的で、SolidWorksを活用していると述べた。

SolidWorksのCEO BERTRAND SICOT氏

複数人とクラウド上で3D設計のコラボレーションを実現

同製品は、設備機械向けのクラウドベースの概念設計アプリケーションで、同社が掲げる「3DEXPERIENCE Platform」に準じた製品の1つ。3DEXPERIENCE Platformとは、ソーシャル&コラボレーティブ、3Dモデリング、コンテンツ&シュミレーション、インフォーメーション・インテリジェンスの機能を持つアプリケーション群によって構成される製造業向けの開発プラットフォームのこと。以前に製品の大まかな概要は発表されており、ゼネラルセッションでは詳細が発表された。同社は、概念設計をした上で3Dデータへと変換し、3D CADソフト上で設計の最終調整をするといった"橋渡し的"な役割を想定している。

同製品のコンセプトとなる重要なキーワードは次の4つ。

  • CONCEPTUAL(概念的) - 設計の障壁を超えた自由なコンセプトの作成、展開をスピーディに実行し、また将来的な使用に備えアイデアを自動的にキャプチャできる。

  • SOCIAL(ソーシャル) - インタラクティブな環境で馴染みのあるソーシャル・コラボレーションツールを利用することで、会社や顧客、ベンダーの集団的知性を活用できる。

  • CONNECTED(接続性) - 設計の繰り返しの自動保存によりデータを安全かつ最新の状態に保護し、時間や場所を問わないデータへのアクセスを可能にすることで、コラボレーションを推進する。

  • INSTINCTIVE(直感的) - 直接編集が可能な無構造のモデリング環境で敏捷かつ直感的な設計ツールを用いることで、アイデアをそのまま設計に変えることができる。

CONCEPTUAL、SOCIAL、CONNECTED、INSTINCTIVEが製品コンセプトのポイント

機能面での特徴は、従来は用紙とペンを使ってアイデアを出していた概念設計が、最初からデジタルデータを使って直感的に作業を進められること。2D CADを作成するようにマウス操作で3D CADを作成できるほか、設計データのサイズや位置を決める際、ジオメトリを選択して数値を入力するだけで新たな寸法を追加できる。構成要素はスケッチオブジェクトとして表示(寸法が自動的に非表示)されるので、ムダを減らしてスッキリとした"作業場"となるという。

SOLIDWORKS Mechanical Conceptualのデモを行った

また、クラウドベースのオンラインコラボレーション機能を搭載し、離れ場所にいる設計者や顧客が一同に集まって作業を進めていくことができる。すべての参加者は、同じユーザーインタフェースでデザインの設計データの形状やチャット機能の投稿を確認できる。

複数人でコラボレーションしている場合、一方の設計者が変更した内容をもう一方の人の画面にもすぐに適応することができる

さらに、概念設計の時点で設計データを評価できる「スケッチモーション」機能を搭載。初期段階で適合性や機能評価をすることで、3D CADソフト上での設計ミスを減らすことができるほか、キャプチャ機能を利用して作成状況の写真と説明文を一緒に保存できるという。

なお、同社はSOLIDWORKS WORLD 2014で3D CADソフトの最新版「SolidWorks 2015」に搭載される主要機能の一部を発表する予定。詳細は追ってレポートする。