ARMのSolution Lineup

招待講演を挟んで、次いでKeith Clarke氏(Photo13)が、今度は具体的なARMのSolution Lineupについて説明を行った。

Photo13:Keith Clarke氏(Vice President, Embedded Processors)

現状、特にMCU部門でのCortex-Mシリーズの伸びは非常に大きく、またCortex-Rも次第にシェアを増やしている。アプリケーションプロセッサとしてのCortex-Aのポジションはもはや言うに及ばないわけだが、これに加えてIoTへのソリューションが補完できたことが今年の目玉である(Photo14)。

Photo14:シェアそのもので言えば、ARM自身が2012年におけるMCUのシェアは18%と報告しており、その意味ではまだあまり大きくは無いのだが、伸び率が非常に大きい事が特徴

そのIoT向けとしては、End pointに向けてCortex-Mとこれを支えるmbedがこれまで提供されてきたが、これに加えて今年はConnectionを担うSensinodeが追加された事が大きな目玉とされている(Photo15)。

Photo15:Cloudの方もCortex-A15やCortex-A50シリーズで攻めている訳ではあるが、こちらは今回のテーマではないためもあってか、サラっと流された

またFactory向けは、Cortex-MとCortex-Rの役割分担が明確に示された。今年は特にARM v8Rの投入により機能安全が要求される分野に本格的にCortex-Rシリーズを投入できるめどが立った事もあってか、こちらへの言及がちょっと目立った(Photo16)

Photo16:Actuationというのは要するに工作機械の制御そのものという説明だが、実際はというと例えばモータ制御は通常Cortex-MにPWMやらモータ制御回路やらを付加したMCUにやらすのが通例で、なのでCortex-Rはむしろシーケンサ的用途になるのではないかと思われる

次がMobile向け。この表(Photo17)に似たものは台湾でも示されたが、ARM TechConで発表されたMali-T700シリーズが加味されているのが大きな違いだろうか。ちょっと色が似ているので判りずらいが、2013年時点で言うと、400ドル以上のハイエンド向けの出荷数量は200~350ドルのミドルレンジを上回る程度だが、2017年になってもハイエンド品以上はそれほど数量が伸びないのに対し、ミドルレンジ品は倍近い出荷数量を見込んでいるのが判る。もちろん一番大きな伸びは150ドル未満のローエンドだが、ここはARM的にも余り美味しくない(ロイヤリティ収入がそれほどない)部分なので、それなりに市場が伸び、しかもロイヤリティ収入がそれなりに取れるミッドレンジを重視したいのは当然の事である。それもあってか、わざわざこんな説明まで行われた(Photo18)。

Photo17:2017年より右側は、それぞれの図が入るように適当に広げているだけなので、こちらは無視する必要がある

Photo18:問題は64bit品がミッドレンジにないこと。来年あたりCortex-A55とかが投入されても不思議ではない気はする

このCortex-A12や、ハイエンドのCortex-A57についてのPOPの提供時期が示されたのはちょっと新しい情報と言えば言えるかもしれない(Photo19)。

Photo19:ちなみにEACはExtended ARM Contractの略である

最後に開発環境としてDS-5の新バージョンではCPU/GPUの性能や消費電力の確認も出来るようになったこと(Photo20)や、ARMのサービスとしてARM Accredited Engineer Program(ARM認定エンジニア プログラム)を開始することなども紹介(Photo21)されて、氏の講演も終わった。

Photo20:これはDS-5の中のStreamline Performance Analyzerの画面

Photo21:AAEに関しては後述