Texas Instruments(TI)は11月8日、マイコンローンチパッド評価キットに「C2000」InstaSPIN-FOCローンチパッドと、「DRV8301」モータドライバブースタパックプラグインモジュールを追加したと発表した。これらを組みわせることで、完全動作のセンサレスモータ制御システムが66ドルで実現するとしている。
これまでのセンサレスのモータ制御は複雑で、コスト、開発期間および、アプリケーション上の制約の問題から、製品開発を断念せざるを得ない状況が少なくなかった。独自のInstaSPIN-FOC技術は、マスクROMに中核となるソフトウェアセンサアルゴリズム群を内蔵し、システムの複雑さを緩和する他、あらゆるタイプの三相同期または非同期モータの同定、調整および効率的な設計を数分で提供し、設計期間の短縮に寄与するという。InstaSPIN-FOC技術を内蔵したPiccoloマイコン「F28027F」をボード上に搭載した「C2000」InstaSPIN-FOCローンチパッドを用いることで、モータ制御開発の導入における障害を大幅に削減できるという。
ローンチパッドシリーズに接続互換のある、「DRV8301」モータドライバブースタパックプラグインモジュールは、6V~24V、最大14Aのモータアプリケーション向けの低電圧で中規模な電流出力を提供するモータ制御ソリューションを構成するとともに、より高電力のシステムの試作および評価ツールとしても使用できる。「C2000」InstaSPIN-FOCローンチパッド向けに設計されたモータドライバブースタパックであり、三相モータ制御を使った製品の開発に役立つオプションを提供する。ローンチパッドとブースタパックを組み合わせて購入することで、モータ制御に必要なハードウェアと、ハードウェア設計ファイルやデバッグ機能、GUIインタフェースをはじめとした、InstaSPIN-FOC技術を組み合わせてテストや実験を行うことができ、家電製品のモータ、ファンおよびポンプなどの製品開発を手軽に開始できる。
具体的には、「C2000」InstaSPIN-FOCローンチパッドは、リアルタイムデバッグ機能を搭載した、低価格の絶縁JTAGエミュレータを搭載し、InstaSPIN-FOC搭載のPiccoloマイコンのほとんどの入出力ピンへのアクセスが可能。また、48ピンパッケージ、および64Kバイトのフラッシュを搭載する。さらに、ソフトウェア開発を手軽に開始できる、TCode Composer Studio統合開発環境(IDE)の無償バージョンが提供される。そして、電流および電圧の結果を解析し、使用条件全体にわたって、高い信頼性と堅牢性でモータの磁束、角度、速度およびトルクを推定するFASTオブザーバアルゴリズムを搭載し、メカ式のエンコーダに近い性能を提供、ほぼ全てのトルクおよび速度のアプリケーションにおいて、メカ式の回転センサが不要となる。
「DRV8301」ブースタパックは、「C2000」InstaSPINローンチパッドと組み合わせることで、完全動作する三相モータのセンサレス制御ソリューションが提供される。小面積の基板に、プリドライバ、複数のパワーMOSFET、および電流センスアンプをはじめとした、三相モータで必要な駆動ステージ一式を搭載する。また、ドライブステージには保護機能が完備され、シリアルインタフェース経由で故障リポートを提供する。さらに、独自のNexFETパワーMOSFET技術で、より高いシステム効率および、優れた放熱特性を実現する。
なお、価格は「C2000」 InstaSPIN-FOCローンチパッド開発キットが17ドル、「DRV8301」ブースタパックプラグインモジュールが49ドル。先に発表された、「DRV8301-69M-KIT」、「DRV8312-69M-KIT」および「TMDSHVMTRINSPIN」の各InstaSPIN-FOC搭載キットは、異なるインバータの電力範囲、異なる品種のPiccoloマイコン製品および、モータドライバ「DRV83xx」製品に対応する。InstaSPIN-FOC搭載のPiccoloマイコン「F2802xF」製品は少量受注時で4ドルより、「DRV8301」は同2.50ドルより、「CSD18533Q5A」 NexFET MOSFET製品は同0.63ドルより設定されている。