スマイルリンクとディビジョン・エンジニアリングは、2社が共同開発した国産のパーソナル3Dプリンタ「DS1000」を発表した。予約受付の開始予定日は11月10日(発売は11月末を予定)。価格は17万5,000円。

「DS1000」は、製造・販売をすべて日本で行う国産のパーソナル3Dプリンタ。現在、国内で広がりを見せている低価格帯のパーソナル3Dプリンタは輸入販売の物がメインだが、そこに純国産製品が加わることになる。

国産のパーソナル3Dプリンタ「DS1000」

本体部品のエクストルーダーは、DS1000自身で出力したという

同機種の造形範囲は105mm×105mm×105mm、積層ピッチは0.05mm~0.35mmを実現。ヘッド速度、トラベル速度はこのクラスの中ではトップスピードで、造形スピードは他社製品のおよそ2~3倍になるという。ヘッドを高速、高精度で動作させるために、同機種にはCoreXY機構を採用。通常の工作機械の構成では、ガントリー機構のXY軸でそれぞれひとつずつモーターを使用し稼働するが、この機構ではXY各軸のトルクを2つのモーターで動かすためバックラッシュ(ずれ)が起こりにくく、動作中に軸転換が頻繁に行われる3Dプリンタでは有効だという。

DS1000のスペック

DS1000の特徴

CoreXY機構の解説

出力デモの様子。ABSは糊、PLAとナイロンはメンディングテープでフィラメントを固定する

使用可能なフィラメントは3種類用意されている。3Dプリンタ用のフィラメントとしてよく使われるABSやPLAだけでなく、ナイロンを使用することができる。フィラメントの価格は同社提供の検証済み製品が1kgあたり5000円程度~、汎用品も使用可能だ。

また、筐体にはシンプルな曲げ板金を採用したことで拡張性を持たせた。加えて、樹脂押し出し用のモーター(エクストルーダー)を本体側に搭載することでヘッドの慣性重量を削減し、高速で安定した動作を可能としている。そして、ディビジョン・エンジニアリング 大内功代表取締役は、まだ企画段階ではあるが、今後大きなサイズの機体の製造も行う構想もあるとコメントした。

同じ立体物を異なるフィラメントで作ったもの。左がABS、右がナイロン

そのほか、同機種ではオープンソースで公開されているパーツやソフトウェアを導入している。その一方で、DS1000自体の設計情報をクリエイティブコモンズで公開。11月上旬には日本語マニュアルやコミュニティフォーラム、モデルデータ・プリント設定などを公開するコミュニティサイトをオープン予定だ。Web上だけでなく、体験セミナーの開催も予定しており、購入希望者対象の無料説明会を11月10日に実施予定。これ以外にも、製造業向け3Dプリンタ活用研究会から女性向けアクセサリー制作のワークショップまで、さまざまな催しを検討中ということだ。

同機種に使われたオープンソースのハード/ソフト一覧

同機種の設計情報をクリエイティブコモンズで公開

コミュニティサイトを開設するほか、講習会、ワークショップなどのリアルイベントも実施予定