Texas Instruments(TI)は10月1日、過酷な動作環境向けカレントシェア機能付きLDO(低ドロップアウト)リニア電圧レギュレータとして、出力電流3Aの「TPS7H1101-SP」、同0.5Aの「TPS7H1201-HT」2品種を発表した。
同製品はカレントシェア機能により、2つのデバイスを並列接続し、出力電流を倍増できる。さらに、ノイズ特性に優れている他、発熱の最小化と電力効率の向上により、システムの信頼性を最適化する。「TPS7H1101-SP」は、過酷な環境で動作する医療用機器、人工衛星、海底ケーブル向けの高信頼性製品で、最大125℃までQML Class-V規格に準拠している。「TPS7H1201-HT」は、油井掘削機などの高温動作機器向けに、最大210℃までの動作に対応する。
具体的には、2個の並列接続により、出力電流を「TPS7H1101-SP」は最大6Aに、「TPS7H1201-HT」は最大1Aと倍増することが可能。特性が同じLDO間の出力電流の共有により、デバイスへのストレスを軽減できるのに加え、高電流化への対応、故障発生間隔の半減が実現する。また、競合製品と比較して、放熱特性を80%強向上させた。放熱特性を強化したパッケージの採用により、発熱の最小化と信頼性の向上を実現している。入力電圧範囲は1.5V~7Vと広く、3.3V未満の電源レールをサポートする。さらに、入出力電圧変換を最小限に抑えており、出力電流1A時の降圧幅が75mVと極めて低いことから、熱損失を低減する。加えて、出力ノイズが17μVrmsと低い他、電源リップル除去比が1kHz時に45dBと高く、医療用機器、石油/天然ガス掘削機器などのノイズに敏感なアプリケーションにも適用できる。
なお、パッケージは、放熱特性を強化した16ピンCFP(セラミックフラットパック)。また、様々な入出力電圧と負荷条件下で性能試験が可能な評価モジュール「TPS7H1101-SPEVM」 と「TPS7H1201-HTEVM」を供給中。さらに、同製品への電源向けに入力電圧範囲が1.6V~6.3Vで、出力電流が6Aの「TPS50601-SP」、同3Aの「TPS50301-HT」のPOLモノリシックコンバータも提供している。この他、ノード数やデバイス数に対する制約なしで、複雑なアーキテクチャを含む基本的回路や先進回路の設計、試験、トラブルシュートを可能にするSPICEモデルも供給中。