小さな子供のためのおやつというと『ビスコ』が有名ですね。クリームを挟んだ、サクサクした食感のおいしいビスケットです。誰もが子供のころ食べたことがあるでしょう。ビスコのパッケージには、ビスコを食べる男の子が描かれていますよね。今回は、この男の子について、江崎グリコ株式会社 グループ広報部の山本京子さんにお話を伺いました。

「ビスコ坊や」の誕生は昭和8年!

現在のビスコに描かれている"ビスコ坊や"

――ビスコのパッケージに描かれている男の子ですが、この男の子の名前は何というのでしょうか?

「ビスコ坊や」です。1933年(昭和8年)の製品発売から、ずっとパッケージにはビスコ坊やが描かれています。

――この商品はなぜ"ビスコ"という名前になったのでしょうか?

当時、酵母入り、油脂使用のクリームサンドビスケットという新機軸を持つ商品に、いろいろなアイデアが加えられました。そして、ネーミングは、多数の案の中に、「酵母ビスケット」を縮めた略称「コービス」があり、「ビスコ」はこれを逆にしたものです。

弊社の名称「グリコ」とも語呂が合いますし、また共に「八画」の「末広がり」で縁起が良かったのです。字体は、グリコが角ばっているのに対して、丸みを持たせることにしました。

――なるほど。名前をひっくり返したのは面白いですね。パッケージのデザインはどのようにして決まったのでしょうか?

それまでのビスケットは大箱入り、バラ製品が大半でした。そこで、ビスコはポケットに入るサイズのパッケージ入りにしました。行楽のおやつに持っていくのに便利なようにしたのです。

デザインですが、当時、婦人薬の意匠で「黒地に月を白抜きしたもの」が店頭で目立っていたのを参考に、柿色地に大きな白の丸抜きとしました。

――現在のパッケージもそうなっていますね。男の子をパッケージに描かれた経緯も教えて下さい。

菓子を口にして頬を膨らませている子供を描いたドイツのポスターがありました。これをヒントに、日本風に描き換えて、ビスコのパッケージに加えたのです。こうしてビスコは誕生しました。

――ビスコ坊やをデザインしたのは誰ですか?

グリコの広告部のデザイナーです。

――ビスコ坊やにモデルはいたのでしょうか?

いえ。特定のモデルはいません。ビスコ坊やは、絵の巧みさより表情の巧みさを狙ってデザインされています。頬の膨らみを最大限に誇張して「おいしさ」を、えくぼと目元で「親しみ」を感じてもらおうとしています。

現在の「ビスコ坊や」は五代目!

――ビスコ坊やのデザインに変更はあったのでしょうか?

現在のビスコ坊やは、2005年(平成17年)にリニューアルされた五代目の坊やです。坊やの顔も髪形、骨格から見直し、現代に合ったデザインに生まれ変わり、現在に至っています。

初代のビスコ坊や 1933年(昭和8年)から

二代目のビスコ坊や 1951年(昭和26年)から

三代目のビスコ坊や 1956年(昭和31年)から

四代目のビスコ坊や 1982年(昭和57年)から

五代目のビスコ坊や 2005年(平成17年)から

いかがだったでしょうか。ビスコに男の子が描かれているのは、ドイツのポスターをヒントにしていたわけですね。また、1933年に発売されて以来、ビスコ坊やもずいぶん変わったことも分かりました。これからも子供たちに愛されるおやつであり続けてほしいですね。

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(高橋モータース@dcp)