STMicroelectronicsは9月13日、ホームゲートウェイから、住宅内の各種ネットワーク対応機器へ、あらゆるタイプのコンテンツを配信可能にするトランスコーディング技術「Faroudja」を発表した。
同技術は、SoC「STiH416(Orly)/407/410/412(Monaco)」に搭載され、STのすべてのホームゲートウェイ向けソリューションの中核技術になるという。トランスコーディングとは、エンコードされたデジタルストリームを異なる形式に変換するプロセスで、"Everything, Everywhere"という考え方に欠かせないものである。このアプローチにより、処理能力やメモリ容量が不足した従来機器を含め、有線・無線を問わず住宅内にあるすべてのネットワーク対応機器が、各種放送、インターネット、サービスにアクセスできるようになる。従来のセットトップボックス(STB)やホームゲートウェイシステムは、サポートされるトランスコードチャネル数に制限があったが、必要なチャネル数に応じて専用トランスコーダ機器が別途必要だった。そのため、いずれのケースにおいても、プログレッシブ対応ディスプレイをサポートするタブレットやモバイル機器に視覚的影響を及ぼすデインターレーサなどの動画処理技術に関連した画質の制約を受けていた。さらに、コンテンツがテレビ放送に限定されていたため、JPEG、MJPEG、DivX、VP8、VC-1、WMVといった他の重要な形式のユーザー生成コンテンツをストリーミングすることができなかった。
「Faroudja」技術はこうした制約を解決。ホームゲートウェイ機器において、デインターレーサとポスト処理を上手く組み合わせて活用することで、IP接続機器でコンテンツを高画質で表示させることができる。同技術は、STのチップセットに実装され、オープン規格であるGStreamerに基づいて開発した新しいソフトウェアによりサポートされる。同ソリューションにより、多くの受信データ形式のH.264へのリアルタイム変換が可能になる。そのため、タブレットやモバイル機器、ノートPC、ネットワーク接続型TVなど、住宅内のあらゆるネットワーク対応機器で、テレビ、ウェブ閲覧、ゲームといったサービスを楽しむことができる。
画像トランスコーディングは、モバイル機器において、写真の高速スライドショーや、ストレージ利用の最適化を可能にする。また、高速トランスコーディングにより、かつてないスピードでコンテンツのサイドローディングが可能となり、コンテンツをモバイル機器にダウンロードして、外出先でタブレットなどのモバイル機器から、そのコンテンツにアクセスすることができる。
「Faroudja」技術は、すでに「STiH416(Orly)」に適用されており、「STiH407/410/412(Monaco)」でも完全にサポートされる。各製品は、ARM Cortex MPCoreアプリケーションプロセッサ上のGStreamerインタフェースによるトランスコーディングチャネルを最大4チャネルまで搭載している。同技術により、チャネル数が増加するとともに、HEVC(High Efficiency Video Coding)などの動画形式もサポートされる。