森永製菓のロゴマークには「天使」(エンゼル)が描かれています。チョコレート菓子『チョコボール』の金のエンゼルが出たら「おもちゃのカンヅメ」がもらえるのも有名ですね(銀のエンゼルなら5枚必要)。森永製菓のシンボルがエンゼルなのはなぜなのでしょうか? 森永製菓株式会社 コーポレートコミュニケーション部 倉重文子さんにお話を伺いました。

天使は100年以上も前から使われている

――森永製菓というと天使(エンゼル)が象徴的ですが、これはいつ頃から使われているものなのでしょうか?

森永製菓のシンボルであるエンゼルマークの起源は1905年にまでさかのぼります。

――そんな昔からあるんですね。

創業当時の代表的な商品であったマシュマロの別名「エンゼルフード」からヒントを得て、天使をモチーフとしました。子供たちに幸福と希望を与えるエンゼルは、菓子を通して子供の世界に楽しい夢を与えたいという創業者の志にぴったりと合致するものだったのです。この最初のエンゼルマークは創業者・森永太一郎によって考案され、1905年に商標登録されました(明治38年版)。

その後は少しずつ姿を変えながら、1933年に定められたデザイン(昭和8年版)をほぼ変えず50年以上シンボルとしてまいりました。

明治38年版のエンゼルマーク

昭和8年版のエンゼルマーク

あの事件をバネに力強くリニューアル

――現在のロゴはどのようにして作られたのですか?

1983年、松崎昭雄社長(当時)の就任を機に「伝統的なエンゼルマークをより力強いものにしたい」という意向を受けCI委員会が発足しました。委員会では2年後に参加を予定していた「つくば科学万博」(1985年3月17日開幕)までのCI導入を目指していました。ところが、いったんこれが中断してしまいます。

――何があったのですか?

1984年に起こった「かい人21面相」による脅迫事件により、会社は大きな打撃を受けて、計画の中断を余儀なくされました。

――あの事件はCIにも影響を与えたんですね。

はい。事件の影響で1985年3月期は大幅な減収減益決算となり、業績の立て直しが急務となりました。その中で、社内の意識・行動を変え企業風土の刷新を図るためにも、新しいシンボルがほしいという機運が高まり、計画は再開されます。

――シンボルマークは企業にとってそれほど大事なものなんですね。

昭和61年版のエンゼルマーク

長く親しまれた伝統的なエンゼルマークに、国際性や力強さを併せ持たせるという意図で、1986年に完成したのが現在のエンゼルマークの原形です。森永のMをかたどった力強い翼を持つエンゼルは天を仰いで微笑み、希望に満ちた未来を求め事業領域を広げていこうとする企業姿勢を表しています(昭和61年版)。

――その時にできたロゴマークが現在も使用されているのですか?

今年の4月に若干の改訂を実施しましたが、イメージはほとんど当時のままです(平成25年版)。

――現在のロゴマークをデザインしたのは誰でしょうか?

ランドー・アソシエイツ社(アメリカ)です。

――海外の会社がデザインを担当したのですね。ロゴマークに込められたデザイン意図などを教えてください。

平成25年版のエンゼルマーク

構成要素には3つのポイントがあります。

・当社の伝統であるエンゼル
・大きく羽ばたこうとするその翼
・森永のイニシャル「M」

この3つをモチーフとして、伝統と親しみに、現代性・国際性・若々しさを盛り込む意図で制作されました。

現在では森永製菓の製品は世界中に羽ばたいています。その意味でも、天使がシンボルマークというのはピッタリなのかもしれませんね。

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(高橋モータース@dcp)