九州大学とテラは4月16日、樹状細胞ワクチン医薬品に関する共同研究契約を締結したことを発表した。

同大大学院薬学研究院の米滿吉和教授らの研究グループはこれまで、がん免疫療法の1つである「樹状細胞ワクチン療法」の技術・ノウハウを提供するテラと共同で、末梢血単核球から均一かつ十分な抗原提示能を持つ樹状細胞の大量増幅培養が可能な技術「樹状細部の培養方法」を開発してきたが、今回の契約により、同技術を活用した細胞医薬品の開発に向けたフィージビリテイスタディ(予備試験)が行われることとなる。

具体的には、治験薬GMPならびに「ヒト(自己)由来細胞や組織を加工した医薬品または医療機器の品質および安全性の確保について(平成20年2月8日薬食発第0208003号厚生労働省医薬食品局長通知)」との適合性の観点から、同技術を用いた樹状細胞ワクチンの全製造工程ならびに品質管理・保障体制についての詳細な検証として、これにより細胞医薬品開発に必須である治験薬GMPに適合した文書体系ならびに製造体制の構築、そして全製造工程の実地検証(製造テストラン)が実施される計画としている。

ちなみに同技術を樹状細胞ワクチンの細胞医薬品製造に適用することで、従来技術と比較して200倍以上かつ同等以上の生物活性を持つ樹状細胞ワクチンを得ることができるほか、従来の樹状細胞製造工程に比べ、製造業務の合理化が可能であることから、全製造工程管理の容易化が実現できるようになるとする。

なお契約期間は2013年4月1日~2014年3月31日の1年間で、研究グループでは、この期間に細胞医薬品開発にかかる技術確立を達成することで、速やかに薬事承認へ向けた治験開始へ移行できる体制準備を推進していく予定とコメントしている。