男女問わず多くの日本人が持つ数学への苦手意識
日本数学検定協会は3月30日、講談社が運営する、理系を目指している中高生女子のための進路相談支援サービス「Rikejo(リケジョ)」の協力のもと、中高生女子を主な対象としたイベント「Rikejo☆モデル体験」を東京・文京区にある講談社本社ビルの26階のイベントルームにて開催した(画像1~3)。当日は、東京工業大学世界文明センターフェローとして教鞭を執ると同時に、日本初のサイエンスナビゲーターとして、テレビや講演に活躍している桜井進氏が講演(画像4)。同時に、桜井氏の説明のもとに、数学的な体験をしてみた。その模様をお届けする。
画像3。講談社本社ビル26階からの眺め。あいにくの曇天だった。正面右手の白いのは東京ドーム、左手にはスカイツリー |
画像4。サイエンスナビゲーターの桜井進氏。現在、日本において数学のすごさや面白さを子どもも大人も問わず伝えられる人物 |
今回のRikejo☆モデル体験は、「日常生活で活用できる"身近な存在"である数学のことを理解してもらう」ということを目的に開催された。大多数の中高生にとって数学とは、中間や期末テスト、さらにはその集大成である受験のために「嫌い・苦手だけどやらざるを得ない」もしくは、身もフタもないいい方だが「嫌い・苦手だから選択できる学年になったら切り捨てる」という教科だろう。
実際のところ学校で習う勉強の中で、小学校の算数レベルならまだしも、中学校以上の方程式だとか三角関数だとか、さらには微分・積分といった数学は、社会に出てから「普通の仕事で何かの役に立つの?」と感じている子たちも少なくないはずだ(確率・統計ぐらいは役に立ちそうと感じるだろうけど)。すでに社会人となっている人たちも、特に文系を選択した人たちなら、中高生時分を思い出せば、「数学って習う意味あるの?」と疑問に感じたことが少なくとも1度はあったのではないだろうか。
こうした、数学への「苦手意識」は、男女問わず日本の中高生の多くにとって共通した見解ではないかと思うのだが、それをさらに女子だけに限定すると、より数学に対する苦手意識が強くなる傾向のようだ。日本の文化がそうさせるのか(理数工は男の教科、みたいな)、学校での教え方に問題があるのか(しかし桜井氏によれば、日本の数学の教科書は世界で最高レベルだそうである)、あるいは脳の構造の男女差においてどうしても女性にとって数学は苦手なものになりやすいのか(より高度な数学になるにつれ、抽象性が高まるので、女性にとってそれが苦手、というのがあるのかも知れない)。
ともかく、正確な理由は不明だが、高校2~3年の頃の文系・理数系の選択において、確実に理数系を選択しない女子が多いことから、苦手に感じている女子が多いことは間違いないようである。もちろん、得意としている女子も大勢おり、今回もイベントのサポートとして、かつてリケジョを活用した大学生女子や社会人の女性も来ていた。
ちなみに、今回のイベントに参加した女子中高生たちはどうかというと、参加理由が、桜井氏のファンだから、という子たちもいるが、苦手な数学を好きになれるようなきっかけとしたい、という子も多かったようである。まぁ、「数学好きな子」といわれて、席に着いているとはいえ、45名(定員50名だったが欠席者数名)+保護者や関係者(+取材陣)の前で堂々と手を挙げるというのは恥ずかしくてできなかったというのもあるだろうが、苦手な子は手を挙げていたので、やっぱり自信を持って「得意」とか「好き」という子は非常ン少なかっただろう(画像5・6)。