STMicroelectronicsは、電力効率の優れたコンスーマ機器、コンピューティングシステム、通信システム、照明コントローラ、太陽光発電システムで使用される高速動作タイプのパワーMOSFET「MDmesh II Plus Low Qg」シリーズを発表した。

同製品は、消費電力が200~500Wの中型テレビなどの機器に多く使用されている電源の電力効率を向上させるもの。例えば、ゲート電荷を低減した「MDmesh II Plus Low Qg(低ゲート電荷)」パワートランジスタを、2億台の液晶テレビに搭載した場合、乗用車約3万台分の温室効果ガスに相当する年間14万tの温室効果ガスを削減することができるという。

スーパージャンクション技術により、パワートランジスタを小型の高電圧コンデンサと組み合わせ、動作時の電力効率を向上させることが可能となったほか、内部電荷の低減により、スイッチング時の効率を高めると同時に、導電損失を低減することで高効率を実現し、液晶テレビで幅広く使用されている共振型電源の省電力化を促進することが可能だという。

また、設計の改良によりゲート電荷(Qg)と入出力キャパシタンスの低減に成功。各要素が、スイッチングの高速化と高効率化に寄与し、液晶テレビでよく見られる共振型電源の開発におけるスーパージャンクション型トランジスタの採用を加速させることが可能だ。これまでスーパージャンクション型トランジスタでは、ハードスイッチングトポロジでの使用が最も効果的であるとされ、製品は電流と電圧が高いままの状態でスイッチングを行うように作られてきたが、共振型電源では、効率を改善するために、2個のインダクタとキャパシタ(LLCコンバータ)を使用し、電圧がゼロになったタイミングでトランジスタがスイッチングを行うことで、システムのエネルギーフローを円滑化している。

さらに、トランジスタの破損またはスプリアススイッチングの原因となる可能性がある印加電圧の急激な変化に対しても、50V/nsと堅牢なdv/dt特性を有するため、交流電源ラインのノイズや高調波などの大きな電圧過渡現象がある場合でも確実に動作する。

なお同シリーズの最初の製品「STP24N60M2」は、パッケージがTO-220。価格は1000個購入時で約2.50ドル。同社では、同シリーズの製品を50品種以上まで拡充し、TO-220FP、I2PAK、I2PAK FP、D2PAK、TO-247、PowerFLAT 8x8などの各種パッケージで提供する予定。

ゲート電荷を低減した「MDmesh II Plus Low Qg(低ゲート電荷)」パワートランジスタの第1弾製品「STP24N60M2」