アルプス電気は3月12日、スマートフォンなどのモバイル機器や腕時計などの小型機器向けに展開する小型地磁気センサ「HSCD」シリーズに、小型化と広い測定範囲を両立させたワイドダイナミックレンジタイプを追加したと発表した。

スマートフォンでよく利用される機能として、インターネット、GPS、動画がある。中でも、GPSはナビゲーション機能や位置記録に利用されており、今後車載市場においては、MirrorLinkなどによりカーナビゲーションの代わりとしても利用されるなど、さまざまな機器がスマートフォンで代替されていくと見られている。このナビゲーション機能には、位置を検知するための地磁気センサが必要で、アプリケーションの進化と合わせ、より正確な位置情報を検知することが求められている。一方で、スマートフォンには、より多くの機能を実現するため、多数の部品が搭載されており、薄型化、小型化が求められている。 

そこで今回、小型化と幅広い測定範囲を両立させた製品を開発、「HSCD」シリーズにラインアップした。同製品は、従来製品より60%小型化し、1.6mm角の小型サイズをLGAパッケージで実現した。また、X,Y,Z各軸で従来比2倍となる±2.4mTの測定範囲を可能にしたことで、基板設計の自由度向上に寄与するという。

具体的には、磁気ヘッドで培ってきた薄膜プロセス技術や磁気シミュレーション技術を生かし、磁気センサ素子を最適化することで、さらなる小型化と幅広い測定範囲を可能にした。また、同社 仙台開発センターで自社設計したASICにより、低ノイズ化と高分解能化を実現している。加えて、モバイル機器や小型機器で簡単にナビゲーション機能や位置検知機能を利用できるよう、独自アルゴリズムを採用し、ユーザーの自然な動作でのキャリブレーションを可能にするなど、エンドユーザーの使いやすさも考慮した製品となっている。

なお、サンプル価格は1000円。3月より量産を開始し、2014年3月には月産500万個体制まで引き上げる予定。

アルプス電気の小型地磁気センサ「HSCD」