Broadcomは、バッテリーの電力を浪費せずにジオフェンス機能を実現するアーキテクチャを搭載した全地球航法衛星システム(GNSS)チップ「BCM47521」を発表した。

ジオフェンス(地理上の仮想境界線)は、位置認識アプリケーションで幅広く利用されている機能で、これを利用することで、ユーザーが仮想的な境界を出入りするたびに通知を受信するアプリケーションが実現可能となる。しかし、アプリケーションプロセッサを常に稼働させておく必要があるため、端末のバッテリーを急速に消費してしまうこととなるため、従来のアーキテクチャで実装することは現実的ではなかった。

同製品では、40nmのCMOSプロセスの採用により、基板面積、消費電力、コストの優位性を実現したほか、バッテリーの消費を抑えるアーキテクチャを採用することで、従来製品比60分の1の消費電力でジオフェンス領域を継続的に監視できるようになったという。具体的には、ジオフェンスをバックグラウンドで監視し、トリガーイベントが発生した場合にのみアプリケーションプロセッサを起動するホストオフロードモード、ユーザーがジオフェンス境界に近づくとリアルタイムに適応するスマートアルゴリズムなどを搭載しているという。

最新のGNSSを複数サポートしており、同時に複数の衛星コンステレーション(GPS、GLONASS、QZSS、SBAS)からデータを集め、最適な受信信号を使用することで、迅速な測位と正確なリアルタイムナビゲーションを実現可能だ。また、独自のマルチコンステレーション技術と信号処理機能を組み合わせることで、建物や障害物が多い場所での初期位置算出時間と、精度に大きく影響する都市環境における迅速な測位を実現することが可能だという。。

さらに、GNSSアーキテクチャプラットフォーム「BCM4752」の採用により、測位計算にハンドセットの慣性センサの値を反映させることで高いナビゲーション精度を実現しているほか、同社がホストするリファレンスネットワークサーバよりアシストGNSS(AGNSS)補助データ、およびWi-Fi、BLE(Bluetooth Low Energy)、NFC(近距離無線通信)屋内測位機能を受け取ったり、ハンドセットの慣性センサデータを活用した屋内測位機能などを有しているという。

なお、同製品の生産はすでに開始されており、ハンドセットの出荷は2013年第2四半期を予定しているという。