ルネサス エレクトロニクスは2月8日、2013年3月期第3四半期(2012年10~12月)の決算概要を発表した。売上高は前年同期比14.3%減となる1910億1400万円の減収となったほか、営業損益は前年同期の39億6700万円の損失から79億3000万円の損失に、経常損益は同36億1400万円の損失から110億9200万円の損失に、純損益は同20億4700万円の損失から462億円の損失となった。

ルネサスの2013年3月期第3四半期の業績

また、中心となる半導体売上高は世界的な市況停滞の継続、中国向け自動車や電子機器等の生産減による半導体需要減の顕在化などにより、同13.7%減となる1772億円となった。「マイコン」「アナログ&パワー半導体(A&P)」「SoC」の主力3事業部門別の売り上げは、マイコンが汎用マイコンにおいて、世界的な市況停滞の継続により、産業、民生を中心に売上が減少し、前四半期比で約15%の減収となったほか、自動車用マイコンも、国内におけるエコカー補助金の終了、中国向け自動車の生産減による需要減の顕在化などにより、前四半期比で約10%の減収となった結果、前四半期比12.1%減の712億円。A&PがアナログIC/ディスクリートとパワーデバイスにおいて、民生や産業を中心とした汎用向けが前四半期比で約20%の大幅減となったほか、自動車用も前四半期比で減収となり、表示ドライバICにおいても、撤退を決めた大型パネル用が減収となる一方、中小型パネル用が堅調で、前四半期比でほぼ横ばいとなったことから、同15.1%減の578億円。そしてSoCがアミューズメント向けは堅調を維持したものの、市況要因により、PC周辺、自動車向けが大幅減となったほか、一部事業縮小の影響もあったことから、同18%減となる451億円となった。

主力の半導体3事業の業績

さらに、営業損益は、同四半期に実行した早期退職優遇制度の実施などによる固定費削減効果が出てきたものの、売上減に伴う利益減などの影響から、前四半期比で22億円の悪化となったとするほか、純損益についても、事業・生産構造対策などによる特別損失328億円を計上したことなどの影響から466億円の赤字になったとする。

なお、同社は今回の四半期業績発表に併せて、通期業績の下方修正を行ったことを明らかにした。これにより通期業績は売上高が前回(2012年12月10日)の決算発表時に公開した予測値よりも500億円減額となる7700億円に、営業損益が同470億円減額の260億円の損失に、経常損益は同440億円減額の340億円の損失に、純損益は同260億円減額の1760億円の損失へとそれぞれ下方修正された。

第3四半期の業績低迷を受けて2013年3月期通期業績を下方修正。営業損益、経常損益がともに黒字予測から赤字へと転落する予測となった

これについて同社は前回予想時点では、自動車および産業機器向けにおいて、一定の市況回復を見込んでいたほか、民生向けでも、大型カスタム案件による堅調な売り上げを見込んでいたものの、それらの分野において中国向け自動車や電子機器等の生産減による需要減のさらなる顕在化や長引く世界的な景気停滞などの影響を受けた結果と説明しているが、売り上げについては2013年3月期の第4四半期に底打ちし、2014年3月期の第1四半期から緩やかに回復していく見込みとしており、安定した財務体質の確保と事業成長への戦略投資を行うべく、人的合理化施策と生産構造対策を進めていくほか、既報のとおり、産業革新機構などを割当先とする1,500億円の資本増強を2013年9月末までに実施する予定だとしている。

現在進められている人的合理化施策と生産構造対策の概要