テクトロニクス社は12月12日、100Gbpsネットワークなどの高速データ通信機器のテストを容易化することを目指した計測ソリューションとして、ハイスピード・パターンジェネレータとエラーディテクタの新シリーズ「PPG3000シリーズ(パターンジェネレータ)」および「PEG3000シリーズ(エラーディテクタ)」を発表したほか、併せて同社のオシロスコープ「DSA8300型」向けに最適化されたフェーズ・リファレンス・モジュール「82A04B型」を発表した。

現在、ネットワークのデータ量はビデオデータの増大および携帯機器の増大を背景として爆発的に増大しており、コアネットワーク分野での10/40Gから100Gへの置き換えが進みつつある。米Tektronixにて、General Manager,Performance Oscilloscopes Product Lineを務めるBrian M. Reich氏は、「100Gへの対応はこれまでリサーチフェーズだったが、2013-2014年あたりで徐々に製品導入が始まり、2015年にはメインフェーズに突入するだろう」との予測を述べる。

今回の一連のソリューションは、こうした市場の動きに対応するためのもので、100Gの世界では電圧レベルが従来よりも下がるためノイズの影響を受けやすくなる。また、転送速度が向上すれば広帯域への対応も必要となる。例えば100G(25Gbps×4)の通信システムの場合、25Gbpsのビット周期は40fsとなり、計測器のジッタとノイズを最小限に抑え、十分な帯域で信号を解析することが求められるが、従来の計測器では、機器自身のジッタの影響などもあり、解析が困難であった。

82A04B型は、入力クロック周波数2~32GHzに対応(オプションで60GHzまでサポート)し、DSA8300型(DSA8200型にも対応が可能だという)に接続して用いることで、そうした計測器ジッタを100fs未満(代表値)に抑えることを可能とするモジュール。このほか、20~70GHz帯域をサポートする電気サンプリングモジュールとして「80E07B/08B(20GHz/30GHz)」「80E09B(30/40/60GHz)」「80E10B(30/40/50GHz)」「80E11/11X1(40/60/70GHz)」6製品も併せて発表されている。これらのモジュールは、独自のリモート・サンプリング・ヘッドを使用することで、測定取込ポイントを被測定デバイスのすぐ近くに置くことができるため、ケーブル使用による信号劣化を抑えることができ、それにより、低垂直軸ノイズ、低固有ジッタ、広帯域性能が実現でき、最新のIEEE、Fibre Channel規格の信号(3次高調波)から45GHzまでのデータ・レートを詳細に解析することを可能とする。

オシロスコープ「DSA8300型」向けに最適化されたフェーズ・リファレンス・モジュール各種の概要

一方のPPG3000は、最大4ch(1/2/4ch)と30Gbpsおよび32Gbpsのビットレートに対応する6機種が、PEG3000は1/2chで、32Gbpsに対応する2機種がそれぞれ用意されており、これらを活用することで、マルチチャンネル・サポートによる最高32GbpsのBER(ビット・エラー・レート)解析が行えるようになり、マルチレーンによるデータ通信アーキテクチャに見られるクロストーク問題を特定することが可能となる。例えば、IEEE802.3baの規格テストでは、レシーバ設計のストレス・テストのための28G×4のテスト・ベンチがシミュレーションできるようになるという。

PPG/PEG3000シリーズの概要

また、PPG3000はチャネルごとに独自のデータプログラミングが可能なマルチチャンネル・パターン生成機能を備えており、これにより各チャネルごとに同期をとりつつ、位相を確保することが可能となる。PEG3000は、32Mbpsから32Gbpsまでのすべてのビットレートを検査可能で、30Gbpsで20mV以上の測定を可能とする高い感度を実現している。

PPG3000は30Gbpsと32Gbpsとかなり近いデータレートでの機種分けとなっているが、これについてReich氏は、「それぞれ適用分野が異なる。32Gpbs対応機種の方は立ち上がり速度が高速ながら、電圧レベルが固定されている。一方の30Gbps対応機種は立ち上がり速度を抑えて、代わりに電圧レベルを可変としている」と説明する。

なお、同社では次世代規格として期待されている400Gならびに1Tbpsなどへの対応を進めていくとするほか、日本市場についても、光ファイバ分野では世界トップクラスであり、開発のニーズを受け付ける意味でも、市場としても重要としており、日本のシステムベンダやコンポーネントベンダを積極的に支援していく方針としている。

すでに価格は82A04B型が548万円(税別)、PPG3000シリーズは1400万円(税別)から、PEG3000シリーズが998万円(税別)からとなっており、出荷はリファレンスモジュール群の出荷は2013年1月より、PPG/PEG3000シリーズについては2012年12月よりそれぞれ開始する予定としている。

上がPED3202(2ch)、下がPPG3204(4ch)。PPG3204のクロックアウトにつながっているのが82A04B型リファレンスモジュール(手前の白い四角の形状のもの)

実際にDAS8300型オシロスコープに表示された波形。リファレンスモジュールを接続することで、測定器が持つジッタを減らし、本来の波形をベースにしたジッタ測定が可能となる

PPG3204のメインメニュー画面

PEG3202のメインメニュー画面