トヨタ自動車とデンソーは、リアルとバーチャルの融合により、自動車の新しい楽しみ方を体験できるプラットフォームとして、走行データをサーキットなどで採取し、そのデータをアプリ向けにリアルタイム送信できる装置「CAN-Gateway ECU」を開発したと発表した。

CAN-Gateway ECUは、専用に搭載したGPSからの位置情報とCANによる車両内部のコンピュータ同士のデジタル通信情報をスマートフォンなどの外部デバイスに公開できる。そのためCAN-Gateway ECUから取得した情報を使うことで、アプリクリエーターは車両内部の複雑なCAN仕様を意識せずに、一般的なアプリ構築技術のみでゲームなど様々なアプリ制作が可能となる。

自動車に装備したCAN-Gateway ECUは、走行中の車両から、GPS信号、アクセルペダルストローク、ステアリング回転角、ブレーキ操作信号、シフト操作信号、エンジン回転数、車速など自分の走行データを受信。USBメモリを使って富士スピードウェイなどの主要サーキットで走行したデータを記録し、家庭用ゲーム機「PlayStation3」専用ソフトウェア「グランツーリスモ5」をベースに技術開発された専用ソフトウェアへ入力すると、「グランツーリスモ」上で、走行シーンを再現できる上、入力した自分の走行データを使いバーチャルな世界でバトルを楽しむことなどもできる。さらに、サーキットでのライン取り、ブレーキやアクセルの踏み込みタイミングなど自分の走りや運転テクニックをゲーム上で再現して学習できるので、運転技術の上達にも結びつくという。

また、Bluetooth通信を使って受信データをスマートフォンに送信することで、水温などの車両情報をスマートフォン画面上にリアルタイム表示できる。このデータを蓄積すれば、コースのライン取りやブレーキングポイントなどのコーチングをしてくれる「ドライビングアプリ」としても活用できる。

トヨタとデンソーは、ポリフォニー・デジタル、電算システムなどのアプリクリエーターとの検討結果をフィードバックし、USBメモリのデータフォーマットおよびBluetoothの通信プロトコルを策定する。また、情報開示を希望するアプリクリエーターに対し、接続に必要な情報を順次開示することで、様々なアプリ開発を促進し、自動車の新しい楽しみ方を広めていく考え。

CAN-Gateway ECUは、小型FRスポーツ86を対象に、2013年春にレース関係者へモニター提供し、2013年末に発売する予定。

CAN-Gateway ECUの解説図