計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは9月5日、PXIに準拠した高速ベクトルシグナルジェネレータ(VSG)「Agilent M9381A」を発表した。

同製品は、独自のベースバンド・チューニング技術により、リストモードで10μ秒、プログラミングインタフェース使用時で250μ秒の高速スイッチングを実現。スイッチング時間だけでなく、出力リニアリティや高い再現性を実現。これにより、周波数や振幅を変更しながら測定を繰り返すパワーアンプなどの製造試験の時間短縮の他、コスト削減にも寄与すると同社では説明している。

また、リストモードでは、3201個のリストモードポイントにおいて、周波数やパワー、変調など80種類のパラメータを変更可能で、スピードの向上と柔軟性を実現しており、これにより、測定スループットを高めながら、多岐にわたる測定要求に対応可能となっている。用途として、無線用パワーアンプやトランシーバ、公共無線・防衛用無線、携帯電話基地局(主にピコセル基地局、フェムトセル基地局)などの測定・検証に適しているという。

帯域幅オプションとして、標準の40MHzの他に、100/160MHzを用意している。いずれもリアルタイム補正機能を搭載しており、フラットネスはそれぞれ±0.1/±0.2/±0.3dB。160MHzに対応したことにより、次世代無線LAN規格802.11acにも対応できる。また、高出力パワーでも優れた変調品質を実現しており、+10dBm以上の出力レベルでも、近接チャネルへの電力の漏洩が少なく、テストシステムのロスの補償のために、アンプを外付けせずに必要なパワーレベルを直接出力することができる。さらに、最大-70dBcの隣接チャネル電力比を実現した(W-CDMAテストモデル1、64DPCHの時)。最大出力は+19dBmで、その際の出力確度は±0.4dBとなっている。

同社のソフトウェア「Signal Studio」により、様々な無線信号を疑似することが可能。パフォーマンスの最適化された基準信号を簡単に作成できるツールを用いることで、LTE/802.11acなどの信号にも容易に対応できるほか、同社で採用した校正済みコアモジュールによる交換対応により、修理時間の短縮化、システム稼働時間の最大化が実現可能だという

価格は「M9381A」にデジタルベクトルモジュレータ「M9311A」、信号出力「M9310A」、シンセサイザ「M9301A」、周波数標準「M9300A」を加えた基本構成で271万5435円(税別)から。ライセンスキーにより、変調帯域幅、周波数帯域、メモリ、出力パワー、高速スイッチングのアップグレードができる。また、18スロットのPXIシャーシ1台で、4個のVSGを搭載可能となっている。シグナルジェネレータ基本構成の「M9380A PXI CW」は201万2962円(同)から。こちらもライセンスキーにより、周波数帯域、出力パワーのアップグレードできる。