大日本印刷(DNP)と富士通フロンテックは8月29日、CD/DVD/BD(Blu-Ray Disc)などの光学ディスク向けに、周波数920MHzに対応した新タイプのUHF帯RFIDタグの販売を開始すると発表した。
RFIDは、大量の個体管理データを収集でき、そのデータを分析することで、市場のニーズや新たな傾向を把握し、戦略立案に役立てることから、ビッグデータ活用のキーデバイスとして期待されている。
UHF帯RFIDタグでは、富士通フロンテック、富士通研究所、DNPの3社が2010年5月に光学ディスク用を開発。今回、より幅広い市場への普及に向けて、さらなる高性能化と低コスト化が必要と判断し、従来製品のアンテナやラベル紙などを改善することで、通信距離を1.5倍、価格を30%削減した新タイプを開発したという。用途として、光ディスクを媒体として管理する計算機センターの他、レンタル業、図書館、金融機関、音楽業界、映像提供会社などへの適用を想定している。
新製品の特徴は主に4つ。1つ目は、スピーディで正確な管理業務。種類が異なる複数枚の光学ディスクを一括で読み取ることができ、光学ディスクが棚や段ボールに保管されている状態でも棚卸や入出荷管理を効率よく行える。ハンディターミナルで100枚の光学ディスクを、段ボール箱に入れたまま4秒で読み取ることができ、商品点検業務や棚卸業務などを迅速かつ確実に行うことができる。光学ディスクの貸出・返却業務では、自動貸出機の上にCD/DVDなどを置くだけで自動的に読み取り、複数商品でも一括して読み取り、返却処理を迅速に完了するなど、一連の管理業務の作業負荷を軽減する。
2つ目は、セキュリティの向上。すべての光学ディスクに直接貼り付けることができるため、確実な個品管理が可能。重要な個人情報を扱う金融機関などでは、個人情報を記録した光学ディスクの管理が重要であり、金融機関内での光学ディスクの貸出管理などを正確かつ迅速に行うことで、セキュリティ性を高められる。
3つ目は、ゲートアンテナによる不正持ち出しや盗難検知が可能。通信距離が3~4mと長いため、保管庫や店舗などの出入り口付近に設置したゲートアンテナで未登録媒体の不正持ち出しや盗難検知を容易に行うことができる。
4つ目は、ラベル発行業務を効率化。UHF帯RFIDに対応したラベルプリンタでEPCコードの書き込みや、バーコード・文字などの印刷ができるため、ラベル発行作業が容易となっている。
光学ディスク用UHF帯RFIDタグの採用実績では、カルチュア・コンビニエンス・クラブが2011年12月にオープンした代官山 蔦屋書店の映像・音楽フロアで、光学ディスクのレンタル商品管理用途に採用された他、金融機関や教育機関、メーカーや計算機センターなどで、重要情報を格納した光学ディスクの管理ツールとして導入された実績があるという。
なお、単価は100万枚ロットで28円。2012年9月末に出荷を開始する予定で、今後3年間で10億円の売り上げを目指すという。