大日本印刷(DNP)は6月5日、フレキシブルガラスを用いたカラーフィルタ製造プロセスを開発したと発表した。今後さらに開発を進め、2014年度の量産開始を目指す。

現在のTFT-LCDに搭載されているカラーフィルタ(CF)は、0.5~0.7mm厚のガラス基板を使用している。スマートフォンやタブレット端末など薄型・軽量が求められる用途では、CFパターンを形成したガラス基板を、ケミカルエッチング処理により0.15mm程度まで薄板化している。しかし、工程が増えることでリードタイムが長くなる他、ケミカルエッチング処理では、さらなる薄板化が難しいなどの課題があった。一方、ガラスの代替としてプラスチックフィルムの活用も検討されているが、酸素や水蒸気に対するバリア性、耐熱性、寸法安定性が課題となり、開発段階にとどまっている。

そこで今回、従来のガラス基板の1/10となる0.05~0.07mm厚のフレキシブルガラスを用いてロール・ツー・ロールプロセスによるCF製造技術、さらに、ガラスにクラック(ひび割れ)などの問題が生じないように条件を精査するなど、フィルムを扱う場合よりも基板に対する力の掛かり方を繊細に制御するプロセス技術を開発した。これにより、フィルムと同様のプロセスで、生産効率が高いフレキシブルディスプレイの実現が期待できるという。

今回、0.07mm厚のロール状フレキシブルガラスに対し、CFパターンをフォトリソグラフィ方式で形成した。製作したCFは、直径3cm以下に曲げられる柔軟性を備えている。

用途としては、TFT-LCDや有機ELなどのディスプレイをはじめ、電子ペーパー、有機EL照明、太陽電池などへの展開も計画している。

ロール状に巻き取られたCF

製作したCFの拡大図

曲げた状態のCF