Analog Devices(ADI)は、広範囲な生体信号モニタアプリケーション向けに、低消費電力で1チャネル誘導の心拍数モニタアナログフロントエンド「AD8232」を発表した。

同製品は、類似するソリューションに比べ、パッケージサイズを50%削減するとともに、消費電力を最大で20%低減しており、家庭での健康管理や遠隔での生体信号モニタリングなど、医療現場以外の環境で使用できる心拍数および心臓モニタデバイスの開発に寄与するという。

他社の類似製品では、既存の医療現場用心臓モニタソリューションの派生品が多いが、「AD8232」は、最新のフィットネス機器や携帯/ウェアラブルモニタリング、さらに遠隔生体信号モニタリングのためのECG(Electrocardiograph:心電計)シグナルコンディショニングの要件に対応する。集積ソリューションの多くで使われている形態とは異なり、「AD8232」は計装アンプに組み込まれ、高度でフレキシブルなアナログフィルタにより、2次ハイパスフィルタを構成することが可能。さらに、多目的のオペアンプも搭載しているため、マルチポールローパスフィルタを構成し、ラインノイズやその他の干渉を軽減できる。

信号増幅(100倍)とハイパスフィルタのシグナルコンディショニングをシングルステージで行うことで、単一電源で動作するため、性能と信号品質を犠牲にすることなく、電極からのDCオフセットに対応することが可能。アナログ出力は汎用A/Dコンバータ(ADC)や、A/Cコンバータ搭載のマイコンと組み合わせることができ、フィットネス/ヘルスケアモニタリングの設計に適する。

計装アンプだけでなく、リファレンスバッファやライトレッグドライバ回路、さらにシャットダウン機能も搭載する。また、ACもしくはDCから選択することができる電極外れ検出回路を内蔵し、電極が患者またはユーザーから外れた場合にシステムへアラートを送信する。さらに、運動中に一時的に電極との接触が外れてしまった場合でも、心臓からの信号を迅速かつ自動で回復する革新的な高速回復モードも有するなど、エンドユーザーのモニタ精度を大幅に向上させている。

なお、パッケージは4mm角の20ピンLFCSP。価格は1000個受注時で1.36ドル。すでにサンプル出荷を開始しており、量産出荷を8月より開始する。

ADIの心拍数モニタアナログフロントエンド「AD8232」