Xilinxは7月17日(米国時間)、同社の28nmプロセス採用FPGA「Artix-7」ファミリのサンプル出荷を開始したことを発表した。同ファミリは同社のFPGA「Spartan-6」ファミリと同じセグメントを対象の中心としており、Spartan-6ファミリと比べてスタティック電力で35%、ダイナミック電力で50%削減することが可能だ。

携帯機器では、小型かつ高性能、そしてバッテリの長寿命化への対応としての低消費電力化が求められている。同ファミリはTSMCの28nm HPL(高性能/低消費電力)プロセスを採用しており、例えば軍用のソフトウェア無線などのバッテリ駆動アプリケーションでは、5チップから1チップに統合可能で、性能は2倍に向上しつつBOMコストは30%、消費電力は35%削減することが可能となり、システム全体の消費電力も1W以下を実現することが可能だという。

ソフトウェア無線を従来ソリューションからFPGA(Artix-7)に代替すると、5チップから1チップに統合することが可能

また、16個の6.6Gbpsトランシーバを備え、JESD204B高速シリアルインタフェース規格を満たす、最高解像度の画像をサポートしているため、これまで3チップを用いて128chを実現していたポータブル超音波診断器の場合、1チップで同等chを実現することが可能であり、最高1306GMACの画像処理を実現できるようになり、性能は50%向上しつつも消費電力は45%、BOMコストも50%削減することが可能になるという。さらに4G通信向けマイクロ波のバックホールユニットの実現に向けては、コンパクトかつ低消費電力、そして低コストの実現が求められるが、1チップでモデム処理を実現することが可能(既存ソリューションでは7チップ必要)ながら、性能は2倍に向上しつつ、BOMコストは30%の削減、消費電力も50%削減することが可能になるという。

ポータブル超音波機器を従来ソリューションからFPGAに代替した場合、3チップを1チップに統合することが可能になる

マイクロ波バックホールユニットを従来ソリューションからFPGAに代替した場合、7チップを1チップに統合することが可能になる

なお、Artix-7ファミリの第1弾製品となる「Artix-7 A100T」の量産品の品質評価は2013年第1四半期を予定している。

また、同社日本法人ザイリンクスは同発表に合わせて5月に発表されたヘテロジニアスFPGA「Virtex-7 H580T」の実チップを用いたデモを公開。同チップはFPGAと28Gbps対応トランシーバASICを1チップ上に搭載したもので、物理的なダイの隔離によるシグナルインテグリティの最適化が可能になったという。

Virtex-7 H580Tの概要

FPGAにはTSMCの28nm HPLプロセスを、トランシーバには同40nm HPプロセスをそれぞれ採用。インターポーザーには65nmプロセスが採用されている。

実際にVirtex-7 H580Tを搭載したデモボードによる25Gbpsのデモ