LeCroyの日本法人であるレクロイ・ジャパンは7月10日、広帯域オシロスコープ用にマルチレーンに対応したシリアルデータ解析用ソフト「SDAIII-C CompleteLinQ」を発表した。

モバイルやクラウド・コンピューティングでは高いデータ・スループットが求められており、PCI Express(PCIe) Gen3、40/100Gbase-R、InfiniBandといった現行および次世代のシリアル・データ規格では、マルチレーンのシリアル・データを利用してデータレートを最大で28Gb/sにまで高めている。しかし、従来のシリアル・データ解析ツールでは、高速かつ複数レーンに適用することが難しくなっている。

データ・レートの高速化により、シングル・レーンでさえ特性評価、デバッグ、およびコンプライアンス・テストの困難さを増している。アイパターンが閉じたときの原因の追求は、最初に取り組む課題として、送信器と受信器の間に存在する伝送路解析では、プローブで接触することができない場所などの信号のシミュレーションが重要になっている。

こうした中、高速シリアル・データ伝送のパラレル化は、新たな課題の1つでであり、特にレーン間クロストークや他の信号源からの影響など、シグナル・インテグリティ上の課題が顕在化している。素早く、マルチレーンを同時に評価するための垂直ノイズの測定、パターン依存ジッタやノイズを観測することは、システムのパフォーマンス低下の原因追求の鍵となる。そこで今回、課題を解決するため、リアルタイム方式による信号捕捉とシリアル・データ解析機能を組み合せて高速かつマルチ・レーンのシリアル・データシステムを実現した。

同製品は、シリアル・データ解析ツールセットを最高で4レーン同時に拡張した。マルチ・レーン解析は、エンジニアが全てのレーンのアイパターンを素早く観測することができる。また、シングルレーンにおいて、レクロイの差動プローブやバーチャル・プローブオプションを使って1か所をプロービングした状態から、異なる複数の場所の解析が可能となっている。「SDAIII-CompleteLinQ」はシグナル・インテグリティ・パッケージ「EyeDoctorII」と利用することで、シングルレーンのシリアル・データ信号と理想的なイコライジング処理をした波形との比較ができる。

「SDAIII-CompleteLinQ」は、LaneScape比較モードと新たなリファレンス・レーンを用いてレーン間の比較を行う。保存または表示されたリファレンス・レーンのデータを用いLaneScapeモードを使うことで、1~4レーンとの比較ができる。リファレンス・レーンは、複数のシナリオによるテストを可能にする。例を1つ挙げると、Aggressorのオン/オフ解析がある。アイパターン測定やジッタパラメータを近傍のAggressorがオンの状態で計測し、この結果をリファレンス・レーンとして保存しておき、Aggerssorをオフにした状態と比較することができる。 リファレンス・レーンは、LaneScapeモードを用いて他のレーンとの比較も可能になるという。

なお、「SDAIII-CompleteLinQ」は、WavePro/SDA/DDA7 Zi/Zi-Aシリーズ、WaveMaster/SDA/DDA8 Zi/Zi-Aシリーズ、LabMaster 9Zi-A/10Ziシリーズで動作する。また、すでにシリアルデータ解析パッケージSDAIIを利用するユーザーは、「SDAIII-CompleteLinQ」の様々なパッケージへのアップグレードが可能となっている。 価格はSDAIII シングルレーン用シリアルデータ解析パッケージが49万円から。7月中旬より出荷を開始する。

2台の「WaveRunner6Zi」を「WR6ZI-8CH-SYNC」で接続