STMicroelectronicsの日本法人であるSTマイクロエレクトロニクスは7月6日、同社の32ビットマイコン「STM32」ファミリとして、ARM Cortex-M4を内蔵した「STM32 F3シリーズ」を発表した。

同シリーズは、Cortex-M4/DSPとFPU、ならびに各種アナログ回路を内蔵したミクスドシグナルマイコンであり、「日本ではヘルスケア機器や産業用機器などで用いられているセンサなどに最適だ」とSTMicroelectronicsのMMS Group,Microcontroller Division,32bit MCU Product Line ManagerであるJean-Marc MATHIEU氏は語る。

同社は同じくCortex-M4を内蔵した「STM F4シリーズ」も展開しているが、「F3シリーズは動作周波数を落として(F4は168MHz/210DMIPS、F3は72MHz/94DMIPS)値段を下げることで幅広い分野での利用を狙ったもので、DSPやDSC(デジタル・シグナル・コントローラ)を使ってみたいユーザー向けのエントリシリーズ」と位置付けている。

STM32 F3シリーズのSTM32シリーズにおける位置づけ

同シリーズは「STM32F30x」および「STM32F37x」の2つのラインアップを用意。2つのラインアップともにUSB 2.0やUART、SPI、I2C、32bitタイマなどの共通機能やハードウェアSRAMパリティチェック、メモリ・プロテクション・ユニット(MPU)などを搭載しているほか、F30xは12ビットD/Aコンバータ(DAC)、7つのコンパレータ、5MSpsを実現する4つの12bit SAR(逐次比較型)のA/Dコンバータ(ADC)、4つのPGA(プログラマブルゲインアンプ)を搭載しているほか最大8KBのCCM(Core Coupled Memory)技術を用いたコードSRAM(CCM SRAM)を搭載、一方のF37xは、16bit ΔΣ型ADCが3つ、12bit DACが3つ、1MSpsの12bit SAR型ADCが1つ、コンパレータが2つ搭載されており、それぞれの用途に応じて使い分けることができる。

STM32 F3は2つのラインアップを用意

STM32 F3の概要

ハイエンド・アナログ・ペリフィラルの概要

ハイエンド・デジタル・ペリフェラルの概要

F30xに搭載されているCCM SRAMは、ハーバードアーキテクチャのインストラクションバス(Iバス)とデータバス(Dバス)の2つのバスそれぞれに接続されており、Iバスにマッピングすることで従来のフラッシュでは2ウェイトステートだった処理を0ウェイトステートで実行することを可能とするもの。これにより従来のSRAMもしくはフラッシュで命令実行をする場合に比べ性能を最大で52%高速化(62DMIPSが94DMIPS@72MHz時)することができるようになるという。また、CCM-SRAMは書き込み保護機能も有しており、読み込まれたコードを保護することも可能だという。

CCM-SRAMの概要

STM32F3シリーズは、48ピンLQFP、64ピンLQFP、100ピンLQFP/BGAのパッケージとフラッシュサイズ64/128/256KBを組み合わせた製品がラインアップされている。すでに一部製品はサンプル出荷を開始しており、2012年第3四半期から量産出荷も開始する計画。また、電源電圧は2.0~3.6V対応だが、電源電圧1.8V±8%対応品ならびに4.3mm×4.3mmのWLCSP66パッケージ品の提供も計画しており、いずれも2012年第3四半期からのサンプル出荷を計画している。

STM32 F3のポートフォリオ