Freescale Semiconductorは、ランドモバイル(陸上移動無線)アプリケーション向けに高い耐反射性能、安定性、ゲインを実現するRFパワーデバイス「AFT05MS031N/09MS031N/05MP075N」3品種を発表した。

同製品群は、公共、警察、鉄道の移動無線といった過酷な通信環境で用いられる移動通信VHF/UHFトランシーバに最適で、アンプやRFパワー・トランジスタへの過電圧や負荷変動が同時にある場合でも、65:1以上のVSWRに対応する。また、安定性の維持に必要とされる回路の大半が統合されているため、設計が簡素化され、幅広い動作環境下で安定して動作する。

136~941MHzの周波数で12V(標準)のモバイル動作向けに設計されており、安定性を維持しつつ、広帯域な周波数範囲にわたって定格性能を実現する。安定性に対する要求は、様々な電圧、駆動レベル、温度環境、3:1のVSWRという条件で行われている。

評価ボードによるリファレンス・デザインが用意されており、わずかな数のインダクタとキャパシタを揃えるだけで設計できる。このため、競合するモジュールベースのソリューションと比べ、同じフットプリントの枠内で性能と費用対効果を高めたアンプが実現した。また、競合モジュールの効率が通常25~40%程度なのに対し、同製品群は65%以上の効率を達成している。

この他、高いパワー・ゲインにより、ステージを減らしつつ、安定性を向上できるのに加え、全周波数範囲にわたる優れた効率により、冷却システムを簡素化し、無線の小型化を実現する。さらに、静電放電(ESD)保護機能を統合しているため、組み立て時に発生するESD電圧に対して優れた耐性を示し、クラスCモードの動作時に最適な性能を発揮する。

なお、「AFT05MS031N」は、動作周波数が136~520MHz、0.5W未満の駆動で定格出力を実現し、「AFT09MS031N」は、動作周波数が764~941MHz、0.6W未満の駆動で定格出力を実現する。2品種とも、出力が31W以上、パッケージは2リード・オーバーモールド・プラスチック(TO-270)。表面実装オプション(パッケージ・サフィックス:GN)に対応する。「AFT05MP075N」は、動作周波数が136~520MHz、出力が75W以上、1W未満の駆動で定格出力を実現する。パッケージは4リード・オーバーモールド・プラスチック(TO-270WB-4)。

「AFT05MS031N/AFT09MS031N」は、現在量産出荷中。「AFT05MP075N」は、2012年第4四半期に量産出荷を開始する予定。リファレンス・デザインをはじめとした各種サポート・ツールも利用可能で、Webサイトにて紹介している。