80年代を代表するロックバンド、Van Halenが14年ぶりに来日公演を行う予定だが、折しも、OpenForumが「What Rock Bands Can Teach Companies(企業がロックバンドから学べること)」という記事を掲載しているので、紹介したい。要旨はボーカル、ドラマー、リードギターで構成されるロックバンドを企業になぞらえて、人材活用を考えるというものだ。

Van Halenは、Eddie Van Halenのギター、Alex Van Halenのドラム、そしてDavid Lee Rothのボーカルが揃って初めて成り立つものだ。Eddieが他の楽器をやってもうまくいかないし、David Lee Rothのあの声でなければ伝説の「Jump」はあそこまでヒットしなかったかもしれない。ロックバンドはいくつかの楽器とボーカルが集まった専門家集団であるため、どの楽器も弾けるというタイプではなく、この人が弾くこの楽器だからこそ成り立っているといってよいだろう。

企業もロックバンドと同じように考えることができる。ロックバンドのメンバーを社員に置き換えてみよう。話上手な営業のプロが、マーケティングマネージャーとして適任かというと、必ずしもそうではない。以下、必要な人材をバンドに例えてみよう。

リードボーカル

バンドのフロントマンであり、この人のコメントがバンドのコメントとして引用されることも多く、いわばバンドを代表する存在である。企業なら社長だろう。企業の文化や社風を作る人であり、表向きの顔である。

ドラマー

バンドではビートを刻む、いわば土台である。企業であれば、執行を統括するCOO(最高執行責任者)といったところだろう。社内のリズムを担当し、これが事業計画に沿ったものかをチェックし、修正する役割だ。

ベーシスト

ドラムの刻むリズムとギターが奏でるメロディーを結び付けるのがベースだ。接着剤のような位置付けにあり、企業で顧客サービスを担当するマネージャーと言えそうだ。顧客が、COOが伝えるビジョンを体験しているのかをチェックする任務を背負う。

リードギター

時に暴走することもあるぐらいワイルド、でもクール――リードギターはかっこいい存在だ。企業では自分たちのメッセージを外に伝えるマーケティングマネージャーがリードギターだろう。

リズムギター

リードをバックアップするリズムギターは、メロディーを音符から音に変えるプロと言える。企業なら、顧客体験の部分だ。メーカーであれば製造、あるいはサービス部門がここだろう。この部門を率いる人は、顧客と顧客体験のチューニングを行うことになる。

こうして整理してみると、自社の誰がどんな役割を果たすべきかわかるし、新たな人材を起用する際も役割をイメージしやすい。もっとも、例える団体はロックバンドでなくてもよい。規模の大きな企業とならば、バイオリン、ビオラ、フルート、打楽器など専門家が集団で交響曲を演奏するオーケストラと考えてもよいだろう。