ルネサス エレクトロニクスは6月21日、エアコンなど家電機器などの高速モータやインバータ制御機器向けに、省電力化に貢献する低損失のパワー半導体「高速リカバリーダイオード(FRD)内蔵スーパージャンクション構造パワーMOSFET(SJ-MOSFET)」として「RJL60S5シリーズ」を製品化したことを発表した。

同シリーズは、高精度スーパージャンクション構造の採用により、高速モータやインバータ制御機器向け600Vのパワー半導体では業界最小レベルの低損失(オン抵抗)150mΩ(標準値)を実現。また、FRDの内蔵とモータなどの用途にあわせた仕様の最適化により、従来のSJ-MOSFET品比で約3分の1となる150nsまで逆回復時間(trr)を短縮することに成功している。

さらに、表面構造の最適化によるゲート-ドレイン容量の最適化により、高速スイッチングとともにスイッチング時におけるリンギングなどの誤動作を防止しており、高速モータや、インバータ制御機器に多用される3相ブリッジ回路などの低損失化と安定動作の両立を可能とした。

なお、同シリーズは現在、パッケージ展開による「RJL60S5DPP」など3製品を9月よりサンプル出荷するほか、2012年12月からの量産開始を計画。2013年3月には月産50万個を生産する予定としている。

ルネサスのSJ-MOSFET構造採用のパワーMOSFET「RJL60S5シリーズ」