カネカは6月19日、同社が保有する乳酸菌「Pediococcus acidilactici R037株」(R037株)に、血中中性脂肪の低減効果があることを、動物実験及びヒト試験にて確認したと発表した。
近年の内外の研究において、乳酸菌には従来知られている整腸作用以外にもさまざまな効果があることが明らかになりつつある。同社は、乳酸菌の新たな可能性としてメタボリックシンドローム予防に着目し、研究を進めてきた。
今回、動物モデルにてR037株の摂取により血中の中性脂肪が低減することを確認し、空腹時中性脂肪が高めの人を対象とした試験を実施し、ヒトに対しても効果があることを確認した。
試験1は、2週間連続摂取における血中中性脂肪の低減効果を確かめることを目的に実施。空腹時中性脂肪が高め(150~350mg/dl)の男性を、100mgのR037株含有製剤を含む被験食品摂取群(10名)とプラセーボ食品摂取群(12名)の2群に分け、被験者はそれぞれ2週間摂取した。
摂取開始2週間後、プラセーボ食品摂取群に対し被験食品摂取群では、空腹時中性脂肪は約26%、「RLP-コレステロール」値は約36%低減。中性脂肪及びRLP-コレステロールは統計的に有意に低減したことが確認されたのである(画像1)。
なおRLP-コレステロールとは、動脈硬化症の進展予測や治療指針として活用される動脈硬化症のマーカーの1種だ。脂質代謝異常が起こると、血中に滞留し、動脈硬化症の促進因子となる。
試験2は、単回摂取による食後中性脂肪の上昇抑制効果が確認された。試験1と同様に、空腹時中性脂肪が高め(150~350mg/dl)の男性を100mgのR037株含有製剤を含む被験食品摂取群(10名)とプラセーボ食品摂取群(12名)の2群に分けて実施。被験者は被験食品とプラセーボ食品をそれぞれ摂取し、その30分後に高脂肪食を摂取した。
高脂肪食摂取後の血液検査において、プラセーボ摂取群に対し被験食品摂取群では、中性脂肪及びRLP-コレステロールの上昇量は3時間後で約25%、4時間後で約30%、6時間後で約50%低下し、中性脂肪及びRLP-コレステロールの上昇を統計的に有意に抑制することが判明したのである。
上記結果のように、R037株の摂取により血中中性脂肪の改善が観察された。高い中性脂肪値は動脈硬化の原因となり、脳梗塞や心筋梗塞のリスクファクターともいわれている。
今後、今回の結果の紹介を開始し、R037株の市場開発を推進していくと共に、R037株の抗メタボリックシンドローム効果の研究を進め、乳酸菌の更なる可能性を追求していくと、同社はコメント。
なお研究の詳細な内容は、6月14~15日に神戸市にて開催された「第16回日本腸内細菌学会」において発表された。