三菱電機は3月8日、電気自動車(EV)のモーター駆動部であるインバータのパワー半導体素子を従来のSiからSiCに置き換え、これをモーターに内蔵した出力70kW級の「SiCインバータ内蔵モーター」を開発したことを発表した。
現状の一般的なモーターとインバータは別々に用意されているが、今回開発されたモーターは円筒状インバータの開発によりモーターの回転軸と同軸上にインバータを内蔵することを可能とし、モーターとインバータの間の電気配線も筐体内に配置することで構造を簡素化。これにより別体型の従来ソリューションに比べ体積を約50%削減することに成功した。
また、用いられるパワー半導体素子をすべてSiC化しており、Siパワー半導体素子を用いた従来型インバータに比べ、損失を50%以下に低減することに成功した。
さらに、集中巻構造の採用によるモーターの巻線密度の向上によるモーターの小型化を図りつつも、磁気設計技術の高度化によるモーター形状の最適化を進め、磁石利用率の向上を図った結果、モーター出力は従来比で5%の改善が図られたという。
なお、同社では今後、冷却構造の小型、高効率化などを進め、5年後の実用化を目指すとするほか、2014年にはSiインバータによる別体構造のモーターの実用化も目指しているとしている。