Silicon Laboratories(Silicon Labs)は3月8日、ARM Cortex-M3プロセッサベースの新MCU(マイコン)ファミリ「Precision32」を発表した。
同製品は動作周波数80MHzのCortex-M3を搭載しているほか、同社がこれまで培ってきて各種のアナログ機能などを搭載したミクスド・シグナルMCUで、USB仕様の「SiM3Uシリーズ」と非USB仕様の「SiM3Cシリーズ」の2シリーズを用意。いずれも32~256KBのフラッシュメモリと8~32KBのRAMを搭載。省スペース重視のアプリケーション向けの6mm×6mm QFN-40パッケージや、パフォーマンスが求められるアプリケーション向けのLGA-92パッケージなど5種類のパッケージが用意されており、用途に応じて選択することが可能となっている。
「Precision32シリーズの開発に当たり、日本を含めた全世界で100名以上の組み込みエンジニアからヒアリングを行い8つの設計課題を浮き彫りにし、それに対応するためのさまざまな機能を搭載した」(同社MCU製品担当ゼネラルマネージャであるマイク・サラス氏)とのことで、GUIベースのツール「AppBuilder」の提供による設計開発時間の短縮や、独自技術の「クロスバー・アーキテクチャ」の採用による周辺機能のピンの配置配線の自由化といったレイアウトの最適化や基板配線の容易化を実現したという。
このデジタル部分の柔軟性はアナログ部分にも提供されているほか、各アナログブロック自体にも柔軟性が提供されており、例えば多数の12ビットA/DコンバータやD/Aコンバータ、コンパレータなどが提供されており、カスタマは用途に応じてそれらを選択して活用することが可能だ。また、これらのアナログ機能はすべての温度範囲および最少1.8Vの全電圧範囲で動作確認が成されており、従来の個別アナログ部品を代替することが可能となっている。
さらにシステムレベルの周波数と電圧の問題に対応することが可能なフェーズロックループ(PLL)アーキテクチャの統合が行われており、これにより1~80MHzの周波数範囲でコアを独立駆動させつつ、USB動作に必要なクロックを供給することを可能とし、外付けの8MHz水晶を不要化することが可能となった。加えてUSBまたは他の5V電源からマイコンに直接給電可能な5V電圧レギュレータも搭載しており、外付けレギュレータを不要化することも可能としたほか、それぞれ最大300mAの6本の高電流ドライブI/Oを搭載したことにより、パワーMSFETなどを直接ドライブすることが可能となっている。
このほか、最大16の容量性タッチ・チャネルを搭載。ボタンやスライダ、ホイールなどが必要なアプリケーションで別箇のタッチセンサICを不要にしているほか、USB 2.0 PHYとUSBコネクタに直接インタフェース可能なアナログフロントエンドを搭載しており、一般的に必要とされる外付けUSBプルアップ抵抗と終端回路を不要にすることが可能となっている。
なお、同ファミリはすでに量産出荷を開始しており、1万個購入時の単価は「SiM3C1xxシリーズ」で2.20ドルから、「SiM3U1xxシリーズ」で2.68ドルからとなっている。