計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは2月28日、同社が「新・定番」と呼ぶデジタルオシロスコープ「InfiniiVision 3000Xシリーズ」に1GHz帯域モデル4機種を追加したことを発表した。

InfiniiVision 3000Xシリーズの1GHz帯域対応モデル。外観は従来の3000Xシリーズと同じ

同シリーズでは従来、100MHz~500MHz帯域のモデルを提供していたが、組み込み業界などでもUSB 2.0やSDメモリカードのUHS-Iなど、高速なインタフェースへの対応が増えつつあり、今回の4機種はそうしたニーズに安価に対応することを目指して開発されたという。

価格の詳細は、以下の表を参照してもらいたいが、最安の2chモデルで116万5751円(税抜き、2月28日時点の参考価格)で、同社のオシロスコープで1GHz帯域を従来カバーしていた7000Bシリーズと比べても安くなっており、1GHz対応のアクティブプローブ「N2795A」(12万4410円、税抜き)と併せても参考価格ながら130万円を切る価格を実現したという。

InfiniiVision 3000Xシリーズ1GHz帯域対応品4機種(アナログ2chもしくは4chと、デジタル16chの有無で4機種)および500GHz帯域対応機種からのアップグレードキットの価格

価格が低減できた最大の理由は機能を絞ったわけではなく、InfiniiVision 3000X/2000Xシリーズに内蔵しているASICおよびA/Dコンバータ(ADC)の量産効果によるコスト低減効果であるという。実際、同シリーズは昨年一年間で前年比150%程度の成長、国内では同200%弱程度の伸びを示しており、予想以上の売れ行きを達成、その結果として、コストの低減が可能になったとする。

また、そのおかげで、測定基板も従来のものからグレードアップが図られており、従来はサンプリングレートが2ch対応品で4GSps、4ch対応品で2GSpsであったものが、今回の1GHz対応品では2chで5GSps、4chで2.5GSpsへとADCの性能向上が図られている。

DVMの概要

さらに、これまでのモデルでは「オシロスコープ」「ロジックアナライザ」「任意ファンクション発生器」「プロトコル表示」の4つの機能を1つの筐体で実現していたが、今回、新たにDVM(Digital Volt Meter)の機能もオプションで用意。こちらは従来の3000X/2000Xシリーズにも対応しているが、内部のFPGAを活用することで、ハードウェア処理でオシロスコープの測定ポイントと同じ箇所で測定を行う3桁のDVMおよび5桁の周波数カウンタとして活用することが可能となる。

なお、同社では同シリーズについて、開発現場と教育機関での活用をイメージしているとのことで、DVMも開発現場での利用よりも教育機関での活用を想定して用意したとしているほか、「競合他社が持つこの分野のシェアを取っていくための価格、性能、機能を搭載した戦略的な計測器」としており、今後も汎用機としてスペックの向上に加えて、普段使いのオシロスコープとしてさまざまな価値を提供していく取り組みを進めていくとしている。