ルータの設定に使用するコマンドや、それをまとめたconfigファイルの互換性の高さは、ヤマハルータを利用する際の魅力のひとつである。もちろん、ルータ側でコマンドに対応する機能を備えていることが前提ではあるが。

たとえば、Webブラウザでは設定できない機能として、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能でMACアドレスとIPアドレスを関連付ける設定がある。つまり、MACアドレスごとに特定のIPアドレスを固定的に割り当てるものだ。

試しに、RT58iで使用しているDHCPサーバ関連のコマンドを抜き出して、RTX810のWeb設定画面にあるコマンド入力機能に貼り付ける方法で一気に入力させてみた。対象となるコマンドは以下の通りだが、セキュリティ上の理由から伏せ字になっている部分がある点は御容赦いただきたい。


dhcp service server
dhcp server rfc2131 compliant except remain-silent
dhcp scope 1 192.168.100.10-192.168.100.100/24
dhcp scope bind 1 192.168.100.* ethernet 
dhcp scope bind 1 192.168.100.* ethernet 
dhcp scope bind 1 192.168.100.* ethernet 
dhcp scope bind 1 192.168.100.* ethernet 
dhcp scope bind 1 192.168.100.* ethernet 
dhcp scope option 1 router=192.168.100.1 dns=192.168.100.1

RT58iで使用していたDHCP関連のコマンドを抜き出して、RTX810のWeb設定画面を使って一気に実行

また、(当然といえば当然だが)Web設定画面で設定したPPTP関連のコマンドをRT58iのそれと比較してみても、内容は基本的に同じである。もっとも現実的には、Web設定画面で設定できるものは、そちらを利用する方が確実であろう。たとえば、VPN設定とファイアウォール設定の連動を図ってくれるので、設定の衝突によるトラブルを回避しやすいからだ。

つまり、すでにヤマハルータを使用していたユーザーにとっては、既存の設定を引き継ぐのが容易なので、その分だけ導入に催しての敷居が低いわけだ。

信頼性・安定性・SWX2200との合わせ技が魅力

信頼性や安定性、サポート体制の充実度といったところでは、ヤマハのルータ製品は以前から定評がある。さらにRTX810では、先に取り上げてきた各種の強化点を盛り込みつつ、実質価格はRT107eと比べてほとんど据え置きといっていい状態なので、これはお買い得である。

しかも、SWX2200と組み合わせることで、さらに魅力が増加する。もちろん両者をバラバラに購入することもできるが、まとめて安価に購入できれば、さらに費用対効果が向上するだろう。イニシャルコストはいくらか高くつくことになるが、設定・管理の負担軽減効果は、それを補ってあまりあるのではないだろうか。

このほか、グローバルIPv4アドレスの枯渇が現実の問題になっている昨今、ヤマハルータが以前からIPv6への対応を積極的に進めてきている点も、無視できないポイントである。単にIPv6アドレスを振れるというだけでなく、パケットフィルタを初めとするファイアウォール機能・DNS関連機能・ルーティング機能と、必要とされる分野をきっちり押さえている。

IPv6関連の設定画面。必要とされる機能は、きっちり確保している

価格帯が同等というだけの理由で「RT107eの後継機」とみなしてしまいそうなRTX810だが、型番が「RT」から「RTX」に変わっていることでもお分かりの通り、実態は「小さなRTX1200」といってよいのではないだろうか。RT107eと比較するとコストパフォーマンスは桁違いに高く、SOHOユーザーにとっては良い買物といえそうだ。