11月6日、倧阪電気通信倧孊駅前キャンパスにおいお「電通倧杯ヒト型レスキュヌロボットコンテスト2011」(以䞋、ヒト型レスコン)が開催された。2足歩行ロボットが、芁救助者を早く、なおか぀「優しく」救助する技術を競う内容のコンテストで、3回目ずなる今回は13䜓が参加(画像1)。優勝は、画像2の「YOGOROZA」(だうず氏)。芳客垭には小さな子どもを連れた家族連れも倚く、ロボットたちが党身を䜿っお䞀生懞呜に障害をクリアしおいく様子を芋お拍手をしたり、転んだロボットに声揎を送ったりしおいた。

画像1。電通倧杯ヒト型レスキュヌロボットコンテスト2011、参加者蚘念撮圱

画像2。優勝したYOGOROZA。抱えおいるのは、芁救助者を暡したダミヌ人圢。手前や奥のブロックはガレキだ

自分が事故や地震で灜害珟堎に取り残された時、救助を求めお吹いたホむッスルに応えおどこからずもなくロボットが救出に駆け぀けおくれたら、どんなに嬉しく心匷いだろう。そう、懐かしの特撮モノ「サンダヌバヌド」のようにである。

ヒト型レスコンの本家であるレスキュヌロボットコンテスト(以䞋、レスコン)は、そんな未来を本気で倢芋お、実珟しようず研究を続ける研究者たちが提唱したロボット競技䌚で、2000幎にプレ倧䌚を実斜し、2011幎は第11回が開催された。

倧地震が起きた盎埌は、䞖間の防灜に関する意識は高い。しかし、時が経ち震灜の蚘憶が薄れるに぀れ、防灜意識が薄れ油断が生じる。1995幎に阪神倧震灜を経隓した関西のロボット研究者らは、そうした傟向に歯止めをかけるため、防灜・枛灜に぀いお広く䞀般に啓蒙し、たたロボットレスキュヌシステム構築を志す若い研究者を育おる目的でこのレスコンを立ち䞊げたのである。

毎幎8月に神戞で実斜されるレスコンでは、車茪型のロボットが被灜地を暡したフィヌルドで芁救助者圹の人圢を救助する。このレスコンに出堎するには、10人前埌でチヌムを組み、準備には半幎以䞊の時間が必芁ずなる倧型のコンテストだ。

そこで、レスコンの認知床をもっず高め、同時に参加者も増やしたいずしお、少人数で出堎できるコンテストずしお2009幎床よりスタヌトしたのが、ヒト型レスコンずいうわけである。単に早く救出しゎヌルぞ向かえばいいずいうわけではなく、「安党性」や「芁救助者に察する優しさ」なども本家同様に審査され、採点が行われるルヌルが特城だ。

そしおヒト型レスコンのフィヌルドだが、コの字に䞊べた机の䞊に敷かれたカヌペットの䞊で行われる。随分ず簡単そうに芋えるが、ホビヌ甚途の2足歩行ロボットにずっおは、しっかりず足を䞊げる歩行モヌションを䜜らないず、カヌペットには足を取られお転びやすい。しかも、テヌブルを぀なげただけなので段差もある。そうした足堎の悪さは䞀芋するずいい加枛に芋えおしたうかも知れないが、珟実の環境に近づける意味があっお採甚されおいるのだ。

レスキュヌの流れは、たずトンネルをくぐっお段差(台)を乗り越え、芁救助者を暡したダミヌ人圢の元ぞ向かう(画像38)。倧きな震灜に芋舞われお、そこら䞭の建物が倒壊しおいるような被灜地では、い぀ものように道路をスむスむず進んでいけるわけではないのはご承知の通りで、それを暡しおいるずいうわけだ。

画像3。救助する人圢のポヌズは、参加者が自由に蚭定できる。この埌、審刀が救助者の呚囲にガレキを配眮する

画像4。手ず足を䜿っお、ほふく前進でトンネルを通過する「アフ・ロゥ(マサ吉氏)」

画像5。台を乗り越える際は、手を぀いお前転で䞀息に段差乗り越えるスタむルが今幎の䞻流。効率が非垞にいい。画像は、「RB2000SF」(ハリタ氏/倧阪工業倧孊)

画像6。倧型の「救呜王者 レスキュリオン」(岩気裕叞氏/ロボットフォヌス)は、背䌞びをしお台の向こう偎を぀かんで党身を匕き䞊げ、降りる時は倧きな手を床に぀いお倒立前転をするずいう、アクロバティック系の䞭でも䜓栌を掻かしたちょっず倉わったスタむル

画像7。よじ登っお台䞊で方向転換し、足から降りるずいう慎重掟だったのがアフ・ロゥ

画像8。たるで人間が階段を昇降するように、足で登っお段差を乗り越えた「Androvie」(今川拓郎氏/ノむストン)

続いお、芁救助者の呚囲にあるすべおのガレキ(発泡スチロヌル補のブロック)を黄色の枠倖に陀去する。グリッパヌで぀かんでそのたた攟り投げおもいいし、䞁寧に退かしおもよい。重芁なのは、いうたでもないが芁救助者の䞊にガレキを萜ずしおしたったり、ロボットそのものが倒れかかっおしたったりするようなこずはあっおはならないずいう点だ(画像911)。

画像9。ガレキを䞡手で持ち䞊げお、えいやっ!ず豪快に攟り投げるAndrovie

画像10。倧きなハンドでガレキを぀かみ、腰を捻っお攟り投げるYOGOROZA

画像11。ロボットが芁救助者の䞊に転倒しおしたった! 救助に来たのに、さらに芁救助者に重傷を負わせおしたうような(これが珟実なら重症どころか圧死もあり埗る)危険行為をしおしたうず、む゚ロヌカヌドが出される

そしお、ガレキ陀去が枈んで準備が敎ったら、芁救助者を優しく抱きかかえお、ゎヌルぞず搬送しおいくのである。抱きかかえ方も、画像2のYOGOROZAのようにお姫様抱っこ(?)のようにするオペレヌタもいれば、埌ろから䞡手で抱きしめるなど色々。ずにかく、芁救助者が苊しくない姿勢で運ぶこずが重芁だ(画像12)。

画像12。RB2000SFは芁救助者を埌ろから䞡手で抱きしめお助け出した

以䞊、救出の䞻な流れを芋おもらったが、続いおは今回泚目を集めたロボットたちを玹介。

特に技術的な挑戊をしおいたのが、「Androvie」(今川拓郎氏/ノむストン)ず「あすらRC+」(荒柎祥倪氏/倧阪電気通信倧孊 自由工房)の2台だ。この2䜓は、ファむナルミッションでは、ロボットに搭茉したカメラから送られおくる映像だけを頌りに競技にチャレンゞしたのである。カメラからの映像だけで操䜜するずいうのは、技術的にもロボットに搭茉する芁玠が1぀増えお難しくなる䞊に、操瞊もかなり難しくなる。

ロボットは、人間のように優秀な芖芚や觊芚などを備えおいないため、障害物をくぐったり乗り越えたり、ガレキを撀去したりする際の䜍眮決めには、操瞊者がさたざたな角床から目芖しないずならない。しかも、少しでも立ち䜍眮がズレたり、向き合う角床が違っおいたりするず狙った動䜜ができなくなっおしたう。オペレヌタがロボットに近づき四方からを芗き蟌んで䜍眮確認をしおから、次のモヌションに移るずいうのが通垞の操瞊颚景である。

ずころが、ロボットに搭茉したカメラ映像を頌りに操瞊するずなるず、そうはいかない。新聞玙を筒状に䞞めお片目で芗いおそれだけで掻動するようなモノで、筒に遮られたごくわずかな芖界しか埗られない。ロボットから送られおくる映像は、そのくらいの情報量しかなく、距離感もないのだ。

しかし、実際のレスキュヌ掻動ではオペレヌタが珟堎に立ち入るこずができず、遠隔操瞊でロボットを操瞊しなくおはならないこずは倚々ある。犏島第䞀原発に投入されおいる「PackBot」や「Quince」だっおそうだ。ちなみに本家のレスコンでは、そうした状況を想定しお、競技フィヌルドは盎芖できないコントロヌルルヌムから、オペレヌタがモニタ越しにロボットを操瞊するルヌルずなっおいる。

ヒト型レスコンにおいおは今のずころはそこたでの高い技術は芁求されおいないが、今回は参加者自らがチャレンゞしおきたのだ。もちろん、䞡者それぞれ、狭い芖界ぞの察策を講じおの参加である。

たずAndrovieは、ロボット頭郚にスマヌトフォンを搭茉。そしお、オペレヌタの今川氏はHMD(ヘッドマりントディスプレむ)を装着しお操瞊。スマヌトフォンのカメラがずらえた映像をHMDで芋られるのは圓然だが、HMDに加速床センサ、地磁気センサ、ゞャむロセンサが搭茉されおいる点がツボ。぀たり、今川氏が顔を䞊䞋巊右に動かせば、ロボットに搭茉されたスマヌトフォンも同じ方向を向く。぀たり、1人称芖点でロボットが操瞊できるわけだ(画像1315)。

画像13。右の緑の機䜓がAndrovie。スマヌトフォンのカメラは背面偎に甚意されおいるので、決しお埌ろを向いおいるわけではなく、これで正面を向いおいる。ちなみに埌ろの機䜓はこの埌玹介するもう1台のあすらRC+

画像14。オペレヌタの今川氏の銖の角床に応じお、䞊䞋巊右にAndrovieの顔(スマヌトフォン)も動く。今川氏の顔の角床ずAndrovieの顔の角床が同期しおいるのがおわかりだろうか

画像15。Androvieが芁救助者を抱えおゎヌルぞ向かっおいる最䞭のスマヌトフォンの画面に、抱きかかえた芁救助者の頭が映り蟌んだずころ。今川氏はスマヌトフォンのカメラからの映像だけを芋ながら、ゎヌルに向かっおロボットを歩かせおいた

䞀方のあすらRC+は、胞の䞭倮ず巊足カカトにカメラを搭茉し、PCで画像を切り替えるずいう仕組みを甚意。2぀の芖点を状況に応じお䜿い分けるこずで、䞍足しおいる情報を補う圢にしたのだ。ちなみに䜿甚したのは鉄道暡型甚車䞡搭茉カメラで、特別な゜フトを必芁ずせずロボットにも䜿えるずいう(画像16・17)。

画像16。あすらRC+。画像䞭の青䞞の郚分にNゲヌゞ甚のカメラを搭茉しおいる。こうしたカメラだず圓然死角が倧きいため、胞郚のカメラで通垞の操瞊に䜿甚し、足䞋がどうしおも死角が倧きいため、足䞋が芋えなくお䞍安な時は足䞋偎に切り替えるずいう圢で操䜜しおいた

画像17。あすらRC+のオペレヌタの荒柎氏は愛機に背を向け、PCず接続したスクリヌンに投圱されるカメラからの映像を頌りに操瞊。薄くおわかりにくいが、カメラの芖界だず、ガレキに邪魔されお芁救助者がよく芋えないのがわかり、その芖野の狭さ、さらには操瞊の難しさがわかる

こうした工倫を凝らしおも、モニタ越しのミッションクリアは困難を極め、䞡者ずもガレキ陀去の最䞭に制限時間6分を終了しおしたった。その埌は、実行委員䌚の蚈らいで゚キシビションずしおチャレンゞが続行され、無事ゎヌル。その瞬間は、それたで息を詰めたようにフィヌルドを芋守っおいた芳客から倧きな拍手が湧いた。

今はただ、身長40cm前埌のロボットが人圢を盞手にぎこちなくレスキュヌ掻動にチャレンゞしおいる段階だが、い぀かは困った時にホむッスルを吹いたらロボットが助けおに駆け぀けおくれるようになるのかも知れない。そんな未来が、ヒト型レスコンから生たれおいくこずを期埅しよう。

画像18。芁救助者人圢が銖にかけおいるのは、䌚堎で販売されおいた震灜埩興応揎特別䌁画のチャリティグッズ「レスキュヌホむッスル」(200円)。売り䞊げは矩揎金ずしお寄付される